女優の永作博美さん=東京都渋谷区、東川哲也撮影
「ドロドロして、人の心を探り合っている時代に、久々にさわやかな映画を作ってもらいました、という感じで」
映画「同窓会」(16日公開)の印象をこう語るが、最近の出演映画を見続けている永作ファンも同じような気持ちだろう。
「人のセックスを笑うな」で欲望にあまりに素直な女性を、「腑(ふ)抜けども、悲しみの愛を見せろ」では、人が良すぎて不気味な妻を演じ、怖いほどにハマった。印象的なのは笑顔。若い男を誘う魔性として、周囲の悪意から身を守る術として……。
どうしたら、そんな笑顔が?
「作ろうと思っては作れないですね。台本を一番最初に読んだときに感じた役柄の印象だけを頼りに、現場で相手とセリフを交わしながら動いた結果。永作博美としての意識は要らないというか、むしろ邪魔」
思えば、強烈なキャラクターは、姉妹の確執を描いたドラマ「週末婚」(99年)など古くから続く。「嫌だなと思いながらセリフを言っているぐらい、つらい役のほうが人は喜ぶというのを教えてもらいました」
個性的な役柄は枚挙にいとまがないが、常に不安に襲われるという。「何が正しいのか、本当に分からない役ばっかりなので、やっていて大丈夫かな、と思いながら。でも、始まった以上、走りきるしかない」
「同窓会」では、久々にさわやかな笑顔が見られる。高校時代からの思いを成就させた同窓生夫婦の物語。夫(宅間孝行、監督・脚本も)から離婚を切り出され、あっさり受け入れる。「何のたくらみもなく、しっかり立ってる女性」と感じ、作り込むのはやめて素直に臨んだ。
37歳。自分の人生に悩みを持ち始めるとされる、40歳前後の「アラフォー世代」の中にありながら、潔い堂々としたたたずまいにみえる。
「今の時代は選択肢がたくさんあって自由な分、迷ってばかりになる。けれど、決断し、それを公言して、やりたいことを貫くしかない。それで成功するなり、つらい目に遭うなりしたほうがいいと思います」
インタビューでは、質問に、じっくり考えてから答えるタイプ。でも「永作さんは決断出来るタイプですか」との問いかけには、即座に返ってきた。
「決断しないと、前に進めないですよね」
(文・高橋昌宏、写真・東川哲也)
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〈ながさく・ひろみ〉 70年生まれ。「Pure Soul〜君が僕を忘れても」など数多くのドラマに出演。03年、黒沢清監督「ドッペルゲンガー」で映画デビュー。1月には初のエッセー集「やうやう」を出版した。主演ドラマ「四つの嘘」(朝日系)が放送中。