ニューヨークを舞台に、女性4人の生き方を描く米映画「セックス・アンド・ザ・シティ」が23日、日本でも公開される。人気テレビドラマの続編だが、ストーリー展開にもまして、ヒロインたちがまとう最新モードがファンの関心を集める。デザイナー、スタイリスト、モデルの3人に作品中のファッションを語ってもらった。
■ブランド服も自然に 岩谷俊和さん(デザイナー)
冒頭に、キャリーが大きな花のついた白いドレスで街を行くシーンがある。かなり大胆なドレスだが、ヘアはナチュラルでアクセサリーもシンプル。バランスのいいスタイリングで、ハイファッションが浮くことなく、リアルな服として表現されている。そこがこの映画の魅力だ。
別の場面に登場するのは、鳥の羽根をチュールで包んだコートドレス。奇抜といってもいい服だが、ファッション誌に寄稿するライターがファッションショーを見ている、という設定の中では自然に見える。
ドラマに続いてスタイリストを務めるパトリシア・フィールドは、登場人物の性格やシーンに合わせてハイファッションを使い、それぞれのライフスタイルをさりげなく表現している。デザイナーにとっては、自分の作品をこんな風に着てくれたらうれしいだろうな、と思わせる場面もある。
ドラマで30代だったキャリーをはじめ、主人公たちは年齢を重ねている。自分にとって何が必要かがわかり始め、犠牲を払いながらも、それを追求している。その年齢だからこそ、ハイブランドの服を自然に着こなせるのだという説得力がある。大人の女性がハイファッションを着るためのお手本になるだろう。
■雑誌感覚の楽しみ 原由美子さん(スタイリスト)
映画というより、ファッション雑誌の感覚。雑誌で仕事をする者として、映画がここまで来てしまったのかと脅威を感じました。
あんなにたくさん着替えて、スタイルは何でもあり。今年の新作もどんどん出てきた。プラダやルイ・ヴィトンのバッグ、イヴ・サンローランの青いジャケット……。これまでの映画では、そのシーズンの服を使うなんて考えられなかった。そうしたスピード感がすごい。新しい服を探して、雑誌をぱらぱらと眺めるような楽しみがあった。
それに、派手な格好を良しとするセレブリティー風の服を、普通の人たちが着る設定にも驚いた。本来、おしゃれとは、あまり目立たずシックなものだったはず。ただ、次の08年秋冬のトレンドは地味めなクラシック。何年か後に、この映画がセレブ風の流行のピークだったとわかるのかも知れない。
好きだったのは、キャリーが寝る時にもつけていた長い真珠のネックレス。公衆電話のシーンの手袋やハイソックスの着こなしも。
主人公の4人とも大人で、ファッションを見せることに徹した。高齢化社会に、年齢を重ねた人にファッションで気分を変える楽しみがあると伝えてくれる映画だと思う。
■自分スタイルが魅力 冨永愛さん(モデル)
主人公キャリーが冒頭で着ていた白い花のドレスが、かわいくて印象的だった。そしてヴィヴィアン・ウエストウッドのウエディングドレス。胸元のデザインが立体的で、花のよう。光沢とはりのある素材使いが素晴らしかった。
ニューヨーク・ファッションの魅力は、流行を気にせず、自分のスタイルで服を着こなすところ。日本では、みな同じようになりがち。映画の4人は性格も職業も異なり、ファッションもそれに応じて個性的だ。
例えばライターのキャリーは、常にブランドものとビンテージをミックスしている。靴が大好きという設定で、雪の日でさえハイヒールの靴を履いていたのには驚いたけれど。
またファッションショーや雑誌の撮影のシーンは興味深かった。米ヴォーグ誌のディレクターも出演し、ファッション業界がそのまま描かれていると思った。
この作品にはファッション同様、4通りの人生、愛のかたちが登場する。仕事にストイックに取り組んできたこと、結婚して子供が生まれたことなどで、4通りの愛は少しずつ私の中に存在する。女という生き方を考えさせられる、女性のための映画であり、男性にとっては女性を理解する手がかりになる映画だろう。
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〈セックス・アンド・ザ・シティ〉 ドラマは米国で98〜04年、6シーズン全94話を放映。キャリア女性4人の恋愛と友情を描いて人気を集めた。日本でも有料放送やDVDで話題に。映画はドラマの4年後に設定。主要なキャスト、スタッフはドラマを引き継ぐ。多くの欧米ハイブランドが協力し、主役4人の衣装だけで300点を超す。