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少女と老人、にぎやかに 「パコと魔法の絵本」中島監督

2008年9月5日

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写真中島哲也監督=山谷勉撮影

 映画「下妻物語」「嫌われ松子の一生」で知られる中島哲也監督の新作「パコと魔法の絵本」が13日から全国公開される。気難しい老人と、記憶が一日しかもたない少女の心温まる交流の物語を、特殊メークやCGキャラクターを動員して、にぎやかに映し出した。色彩感と祝祭感にあふれる映像世界はいかにして生まれたのか。

 原作は後藤ひろひと作の舞台。ワンマン社長の大貫は入院先の患者や医師らとかかわりあおうとしない因業ジジィ。ところが事故で記憶に障害を負った少女パコとふれあううち、いつしか彼女の心に残りたいと思うようになる。彼女のお気に入りの絵本の世界を病院の面々と舞台にすべく、大貫の奮闘が始まる。

 「クリスマス・キャロルを思わせる古典的で、素朴で、力強い話。人間が成長する物語は多いが、老人が成長する点に興味を持った」と監督。

 そんな素朴な話を、この人はリアリズムで描かない。まずは舞台と大きく変えた俳優の風体。大貫役の役所広司をはじめ、土屋アンナ、妻夫木聡といった俳優はみな奇妙な衣装と特殊メークで、だれがだれやら、わからないほど。

 「外見にかせをはめることが俳優にどう影響を及ぼすのか、興味がありまして。体の動きや表情に制限を加えると芝居が大きくなり、最後は目だけで感情を表すようになる。異様な外見はむしろ、感情のリアリティーを追求するための装置なんです」

 感情重視の姿勢は後半、CGと役者の動きを融合させた劇中劇にもつながっていく。劇衣装を着て、より派手になった俳優と、パコの読む絵本から飛び出してきたようなCGキャラクターが、めまぐるしく入れ替わりながら劇中劇は進む。

 「舞台の迫力や臨場感を映画で表すには映像の力を借りるしかない。芝居に熱中するパコの視点と、映画に熱中する観客の視点を同時に表そうとした結果がCGとの融合。モノトーンに沈んだ福岡郊外に育ったせいか、年をとるほど派手になってしまって」

 売れっ子CMディレクターから本格的に映画を手がけるようになって3作目になる。

 「CM監督は主役の商品をどうひきたてるかを考える。一方、映画は俳優が主役。映像は彼らの表現を拡張するものだと思う。今回の現場では伸び伸び動いている俳優をみているのが楽しくてしかたなかった。映像よりも俳優がよかったねえ、とほめられるのが監督していて一番うれしいんですよ」(野波健祐)

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