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浮上なるか3D映画 上映環境が進化

2008年10月9日

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 登場人物たちが立体的に映る3D(3次元)映画。25日から上映される「センター・オブ・ジ・アース」では、過去最大規模の映画館数で3D公開される。これを機に、3D上映を売り物にしたいと、映写できる環境を整えた映画館も多い。作品の質の悪さなどからこれまで根付かなかったが、今度こそくっきりと浮かび上がるのか。

 「センター・オブ・ジ・アース」はSF小説の大家ジュール・ベルヌが140年前に書いた「地底旅行」の映画化。主演は「ハムナプトラ」のブレンダン・フレイザー。地質調査中に地下世界に落下した研究者たちが、凶暴な恐竜などと戦いながら地上を目指す冒険スペクタクルだ。

 飛び出す絵本のような映像を専用のめがねをかけて見る。鋭い歯の「飛びピラニア」が向かってくるシーンでは思わず体をよけてしまう。めがねの上に3Dめがねをかけて見たが、それほどの不快感はなく画面に集中できた。

 作品を配給するギャガ・コミュニケーションズによると、3D版は55スクリーン、通常版は52スクリーンで公開される予定だ。一部3D公開というのがこれまでだったが、「今回は3D中心の興行。これを機に本格的に普及させていきたい」と松下剛宣伝部長は話す。

■専用設備も

 これを機に3D映写設備を整えた映画館も多い。デジタル映写機に専用サーバーを取り付けると3D上映が可能となり、映写機からそろえると約2千万円かかるという。

 業界大手のシネコン「TOHOシネマズ」は6館で整備した。マーケティング室の篠田亜美さんは「家庭で映画を見る環境はどんどん進化しているが、3Dの迫力は劇場の巨大スクリーンでこそだいご味がある」。「ワーナー・マイカル」も3Dシアターを拡充。広報部の久世弘美さんは「今秋からいよいよ3D映画の時代が来ると思うので、出来る限り上映したい」と期待する。

 3Dの長編映画はテレビに対抗するため50年代から米国などで製作された。ポルノ「淫魔」、カンフー「空飛ぶ十字剣」、ホラー「悪魔のはらわた」など様々なジャンルの作品が日本でも公開されてきた。最近では「ベオウルフ/呪われし勇者」や、ディズニーアニメ「ルイスと未来泥棒」などが3D公開された。

 しかし、ディズニーランドの「キャプテンEO」などが話題になる一方で、劇場映画の3Dは定着しなかった。

■少ない疲労度

 なぜか。立体映像にくわしい大口孝之さんによると、立体映画のストーリーや演出などが質的に満足できるものではなかったこと、それに映写技術が未熟だったため頭痛や目の疲労など不快感をもたらしたことが原因という。

 今回はどうなのか。大口さんは「適度の飛び出し効果で迫力ある映像が楽しめるし、デジタル映写技術の進化などによって疲労度も少ない。劇的に改善されたと思う。今後定着するかは同じような質の高い作品がさらに続くかどうかだろう」と話す。

 米国などでは今後、80本以上の作品がラインアップされているという。たとえば、ディズニーは「ボルト」「クリスマス・キャロル」「UP」など09年日本公開のCGアニメすべてで3D上映を予定している。最大の話題は、ジェームズ・キャメロンの「アバター」(09年12月世界同時公開)。キャメロンが「タイタニック」以来のメガホンをとったSFアクションアドベンチャー作品だ。

 さらにこれまでの作品を3Dに変換する作業も。たとえば、CGアニメ「トイ・ストーリー3」が10年に3D公開されるにあたり、1作と2作も3Dに変換する。こういった3Dラッシュの背景には、ホームシアターや映画のネット配信の進歩などへの業界の危機感があるという。

 ソフトの質以外にも懸念材料はある。まずは専用めがねをつけて2時間近く鑑賞することへの抵抗感を払拭できるか。さらに「センター……」の場合、3Dの入場料は多くの劇場で2000円なのだが、1000円のサービス料金が当たり前になっている現在、割高感は否めない。

 映画評論家の江戸木純さんは「3Dは映画館をアトラクション化するもので、普通のドラマには必要がない。奇をてらった視覚的なものに走る以前に、内容のいい作品を作らないと客を呼べない。3D作品は基本的に内容が良くないと立体化してもうまくいかないだろう」と話す。(小林裕子、斉藤勝寿)

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