
公開中の「三本木農業高校、馬術部」で、顧問の教師を柳葉敏郎が演じている。1年がかりの撮影で、教え子役の俳優と多くの時間を過ごした。「成長の度合いがものすごい。役者としても、人間としても。卒業式の場面で、走馬灯のように流れてきた」と振り返る。(高橋昌宏)
青森県十和田市に実在する県立三本木農業高が舞台。病気で視力が失われていく馬の世話をした馬術部員の実話をもとにした物語だ。「競技馬の女王」と呼ばれた時期もあったこの馬が病気で引退後、所有する大学から引き取ることを決めたのが、演じる顧問の教師だ。
「障害のある馬に携わって、何かを感じてもらいたかったんでしょうね」。モデルとなった顧問に会った。「ムチを打つ、あめを与える、その兼ね合いが絶妙。先生の生徒たちへの思いがこの物語を作ったんだな」と実感した。
この馬を担当する部員を演じるのは長渕文音(あやね)。歌手の長渕剛の長女。馬の出産シーンは彼女らと共に実際に撮影した。「取り返しがつかないので、緊張しましたね」。長渕は感激のあまり、「セリフが飛んじゃっていました。ボロボロと涙を流して。あの空気の中に、一人の少女として完全にとけ込んでました」。
佐々部清監督からは「田舎のおじさんでやってくれ」と言われた。秋田で生まれ育ち、06年から故郷に構えた家で暮らし、仕事のときだけ東京へ。そこからにじみ出る雰囲気を期待されてのことだ。
ドラマならフジ系「コード・ブルー」やWOWOW「パンドラ」、映画だと「誰も守ってくれない」(来年1月公開)など最近、社会派やヒューマン作品への出演が多い。「若い時はすべてがチャレンジでした。今は、この役で次の世代に伝えられることは何だろうということを模索しているのかもしれません」
47歳の今を「人生の折り返し地点を過ぎたところ」と表現する。俳優以外に、作品の企画や製作に何らかの形でかかわりたいという夢も抱く。子育てやPTA活動にも積極的にかかわる。
「僕は“役者バカ”にはなりたくないんです。“人間バカ”になりたいですから。色んな人たちの力を借りて、全うして、臨終の瞬間、床の上で『やったぜ』と言えるかどうかですね」