現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 映画・音楽・芸能
  4. 映画
  5. 記事

ゾクゾクする絶対美人 映画「ICHI」主演 綾瀬はるか

2008年10月17日

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真

 主演映画「ICHI」を見ていて、ふと「絶対美人」という造語が浮かんだ。反対語は当世はやりの「雰囲気美人」。

 絶対美人の条件は二つある。髪形に左右されない。どの角度から見ても美しい。前者は、ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」で証明済みだ。髪が抜けて坊主になった彼女が恋人に向かって「キスでも、キスでもしませんか」と語りかける場面は、ドラマ史に残る切なさだった。

 後者については「ICHI」を見れば分かる。彼女が演じるのは盲目の旅芸人で剣の達人。名は「市」。座頭市の女版だ。市が抱える虚無を、曽利文彦監督は横顔の映像で表現する。

 正面の顔がきれいでも、横顔はいま一つという女優はたくさんいる。しかし、彼女の横顔は完璧(かんぺき)だ。仕込み杖(づえ)に手をかけた彼女の横顔は、氷のように冷たく研ぎ澄まされている。「市は口数が少ないので、たたずまいだけで、重いものを背負って生きている感じを出すのがとても難しかったです」

 勝新太郎の市と違い、目は見開かれている。目を開けていながらどうすれば盲目に見えるのか、研究を重ねたという。「何かを見てるようで見てないという感じを表すため、目に力を入れないように気をつけました」

 焦点が定まっていない瞳で、じっと敵との間合いを測る市。その横顔の何とゾクゾクすることか。ただ、殺陣の時には相当な苦労だった。「伏し目がちのままでの殺陣は、かなり怖いんです。型を完全に覚え、タイミングを何度も合わせる。一瞬相手を見ちゃってNGになったこともありました」

 絶対美人には「ICHI」のような繊細な役が似合う。映画「雨鱒の川」の、耳の不自由な小百合、ドラマ「白夜行」の、心に闇を抱えた雪穂……。一方で、ドラマ「ホタルノヒカリ」や「鹿男あをによし」など、ちょっと間の抜けた愛すべき役もピッタリはまっている。なんとも不思議な女優。もう1本の新作「ハッピーフライト」で演じる新人キャビンアテンダント悦子はこちらのタイプだ。

 「その役を愛情込めて演じていると、役と自分が重なってくることがある。そういう時はいいものが出来ると思います」

 「ICHI」も「ハッピーフライト」も、彼女の愛情がたっぷり注がれているに違いない。(文・石飛徳樹、写真・郭允)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内