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巨匠フレデリック・ワイズマン、パリ・オペラ座を撮る

2008年10月23日

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 米ドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマン(78)が、300年を超える歴史を誇る世界最高峰のパリ・オペラ座バレエ団を追った「THE PARIS OPERA BALLET」の制作に取り組んでいる。監督は裁判所、病院、家庭内暴力の現場などを舞台に米社会の実態をえぐる作品群で知られる一方、自ら公言するバレエの「大ファン」。撮影終盤を迎えた監督に聞いた。

 監督がバレエを扱うのは「アメリカン・バレエ・シアターの世界」に続いて2度目。今回は難交渉の末、監督が「フランス文化の縮図」と考えるパリ・オペラ座バレエ団のあらゆるリハーサル、すべての会合に出入りして自由に撮影する許可を得た。

 撮影には11週間をかけ、135時間分をフィルムに収めた。これを1年近くかけて自ら編集する。「いまだ形をなさない素材から、思いもしなかった作品が次第に見えてくる。編集こそが作品のテーマと構成を浮かび上がらせる」。最終的に、2時間45分の作品となる見通しだ。

 映像全体の約4分の3は「ロメオとジュリエット」「くるみ割り人形」「ベルナルダの家」などの演目のリハや本番などバレエの映像。残りは、管理経営についての映像が中心となりそうだ。「団は、150人のダンサーを抱える企業。オフィスであらゆる決定を下す芸術監督ブリジット・ルフェーブル氏の姿を実にスマートに感じました」

 ナレーションもバックミュージックもないワイズマン独特の手法は今回も変わらない。こうした手法を、ワイズマンは小説や劇から学んだという。「劇の途中で、作者が立ち上がって『今のシーンはこれこれの意味で』なんて解説しないでしょう」。物事をくどくど説明する態度は、観客を見下す姿勢につながると考える。「ナレーションを入れると、逆に作品と観衆との間に壁ができる。観客は作品が描く出来事の中に身を置いて、見聞きするものとそれぞれの関係を築きながら考えてほしいのです」

 同作品は日本で09年に公開される予定。(パリ=国末憲人)

    ◇

 フレデリック・ワイズマン 矯正院の内部を詳細に描いた67年のデビュー作「チチカット・フォーリーズ」で注目を集めた。自身を含め3人程度の撮影団で様々な組織や機関の中に入り込み、情景や動きを徹底的に描く手法を確立。代表作に「高校」「病院」「臨死」「ドメスティック・バイオレンス」「コメディ・フランセーズ/演じられた愛」など。

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