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《東京国際映画祭:星取りレビュー》「ハーフ・ライフ」(★★☆☆☆)

2008年10月24日

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■太陽膨張、突拍子もない野心作

 西に沈んだ夕日が、直後にまた西から昇り出す世界……。地球が逆回りに自転を始める、この“トンデモ系”の近未来SF映画を撮った女性監督ジェニファー・パングは鬼才なのか。それとも、この作品は単なるキワモノなのか。次回作を見ないと、判断がつかない。

 「すべて太陽のせい」。この映画は、まるで作家アルベール・カミュの小説「異邦人」を意識したような不条理の物語だ。

 舞台はアメリカ。太陽が膨張し、フレアに異常が現れたらしい。磁気嵐が吹きつけ、旅客機は既に飛べない。太陽の異常は、登場人物の心も、ことごとく狂わせていく。

 19歳の女性パムは、母と8歳の弟、母の年下の愛人と暮らす。父は軽飛行機で太陽に向かって飛び、行方不明という設定だ。パムは学資が足りず、大学をやめて清掃員として鬱々と働く。母のヒステリーは日ごとに強まり、仁王のような形相に。彼女の愛人も目が血走り、パムを愛し出して母娘とも大混乱する。パムの唯一の友人で好意を寄せるゲイの青年が、パムとベッドインするのも太陽のせいなのか。超能力を持つ弟は、すべてを見透かす太陽の化身のような存在だ。

 所々、アニメーションを使い、実写の人物たちの輪郭がぼやけていって絵に変わる演出をほどこしている。まぶし過ぎる太陽を前に、実像と虚像が混然としてくるさまを、自己の一貫性を失った「異邦人」の青年ムルソーの姿に重ねるのは、この映画を買いかぶり過ぎだろうか。

 監督は、こうした人間たちの姿を「全世界的カオス、自然災害、超自然現象が聞こえてくるような風景を背景に描きたかった」という。

 中国系マレーシア人とベトナム人の両親を持ち、米国で映画を学んだ監督。この作品では、作家ガルシア・マルケスの息子で映画監督のロドリゴ・マルケスに師事して制作した。ロドリゴ監督はかつて、死者と生者の交感を描いたことがある。カオスのような作品は、こうした「出自」を持つ。

 突拍子もない映画だが、奇抜な試みに挑んだ野心はかいたい。(アサヒ・コム編集部 宮崎陽介)

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