スティーブン・ウォーカー監督
米国で82年に結成された平均年齢80歳のロックコーラス隊を追うドキュメンタリー映画「ヤング@ハート」が8日から東京・シネカノン有楽町2丁目などで公開される。ジミ・ヘンドリックス、ラモーンズ、クラッシュなどのお年寄りらしからぬ楽曲で度肝を抜くステージと練習風景に密着し、生きること、挑戦することの意味を問いかける。
監督は、広島の原爆投下前夜を描いたドキュドラマなどを手がけたBBC出身のスティーブン・ウォーカー。コーラス隊のロンドン公演を見て、映画化を思い立った。
「話題性だけのキワモノなのでは、と半信半疑で出かけたが、パワフルなステージに圧倒された」。コーラスの地元マサチューセッツ州ノーサンプトンに渡り、地元公演までの2カ月間を撮影した。
黒人音楽のリズムに苦労し、ソニック・ユースの過激な音に思わず耳をふさぐ人も。音楽監督の粘り強い叱咤(しった)激励を受け、メンバーは孫世代の音楽と格闘する。
「ミック・ジャガーも還暦を迎えた時代だけれど、70代以上はロックとは無縁。そんな彼らが歌うから、なじみの曲が新鮮な衝撃を与える」。若者の衝動を歌うパンクロックが生命賛歌の響きを帯びる。「ロック世代がメンバーになったらこの味はもう出せないかもしれないね」
最高齢92歳。持病を抱える人も多い。公演目前に世を去った人もいる。
「メンバーの死生観も取材していたが、まさか現実になるとは……。でも、映画の中で彼らは生き続ける。どの国の上映でも観客が希望を感じてくれたのは、その生き方が魅力的だから。これは老人映画じゃない。最高にイカした連中の映画なんです」(深津純子)