伊ベネチア国際映画祭のディレクター、マルコ・ミュラーさん(55)が、08年度の国際交流基金賞(文化芸術交流部門)を受賞した。授賞式のため来日したミュラーさんに聞いた。
「鈴木清順監督が式に酸素ボンベを付けて駆けつけてくれた。感動した」
80年代から、イタリアのペザロ映画祭やオランダのロッテルダム映画祭時代に何度か招待したのが縁だという。
今回の受賞理由は、日本を含むアジアの映画を世界に紹介したこと。9月末に来日して、まず墓参りをした。邦画を海外発信した川喜多家の長政、かしこ、和子の3人と、黒澤明の墓だ。
「長政の尽力でベネチア国際映画祭に出た黒澤の『羅生門』から、ベネチアと日本の関係が始まったから」
「かしこ、和子の2人は、私を日本映画に導いてくれる天女でした」とも。20代のミュラーさんは、「天女」の勧めでオールナイトのやくざ映画5本立てを見たことを機に、マキノ雅弘や加藤泰を欧州で紹介した。
以来、黒澤や溝口健二、小津安二郎ではなく、B級、ロマンポルノ、成田闘争のドキュメンタリーなど多彩な日本映画を知らしめた。今年は北野武、宮崎駿、押井守という3監督の新作をベネチア国際映画祭のコンペ部門に入れた。この3人には折にふれて会い、関係を築いてきた。
今後は、日本の若手の作品をさらに多く海外で上映するほか、有名すぎて避けてきた小津監督などの巨匠の映画を新しい視点で紹介したい、と語る。
「僕と日本映画の第2ステージが始まる」(古賀太)