世界の映画の最先端を紹介する第9回東京フィルメックスが22〜30日、東京・有楽町の朝日ホールなどで開かれる。今回は南米にもウイングを広げ、より多彩なプログラムを用意した。
開幕作品は「モーター・サイクル・ダイアリーズ」で知られるブラジルのウォルター・サレスが共同監督した「リーニャ・ヂ・パッシ」。吉田喜重、蔡明亮(ツァイ・ミン・リャン)らが参加したオムニバス「ウェルカム・トゥ・サンパウロ」や、ブラジルの知られざる名匠ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ監督の回顧特集などもある。
アジアの俊英が競うコンペティションは10本。日本からは熊切和嘉監督の恋愛劇「ノン子36歳(家事手伝い)」と、新人・濱口竜介が東京芸大大学院修了作品として撮った男女5人の群像劇「PASSION」が参加する。
レバノン戦争を当事国双方が描いた2作品も注目だ。「バシールとワルツを」はイスラエルのアリ・フォルマン監督が自身の従軍体験をアニメーションで表現、レバノン映画「私は見たい」ではカトリーヌ・ドヌーブの目から戦禍の現実を見つめる。
特別招待作品では「エクステ」「紀子の食卓」の鬼才・園子温の約4時間の最新作「愛のむきだし」をプレミア上映する。香港のジョニー・トー、韓国のホン・サンス、イスラエルのアモス・ギタイ、米国に拠点を置くイランのアミール・ナデリら、この映画祭ではおなじみの監督の新作も楽しめる。
回顧部門には、日活映画の黄金期を支えた蔵原惟繕監督の本格的特集も組む(東京国立近代美術館フィルムセンターと共催)。石原裕次郎らのスター映画や「南極物語」「キタキツネ物語」などの娯楽大作のイメージが強い監督の初期作に注目。大企業の裏側を描く「第三の死角」、濃密な心理劇「ある脅迫」、無軌道な青春を手持ちカメラで切り取る「狂熱の季節」など、才気と時代の熱気が結びついた作品群はいまも新鮮だ。
当日一般1700円。蔵原特集は800円。詳細は公式サイト(http://www.filmex.net)。(深津純子)