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木村佳乃、映画「ブラインドネス」への思い語る

2008年11月18日

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写真木村佳乃写真「ブラインドネス」から。右からジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、木村佳乃、アリス・ブラガ(C)2008 Rhombus Media/O2 Filmes/Bee Vine Pictures写真目の見えない役を演じた木村佳乃(C)2008 Rhombus Media/O2 Filmes/Bee Vine Pictures

 人を失明させる伝染病が猛威を振るうパニック映画「ブラインドネス」が11月22日、各地で公開される。今年のカンヌ映画祭の開幕を飾った話題作だ。ジュリアン・ムーアやガエル・ガルシア・ベルナルらの名だたる俳優と共演した木村佳乃に聞いた。(アサヒ・コム編集部)

■迫真の「目の演技」

 「目の見えない演技は大変でした。さりげない演技の方が意外に注意が必要で、常に目を使わないことを自分に言い聞かせないと、つい、パッと『見て』しまいました」

 物語の舞台は外国だが、どの国の、どの街かは明かされない。車を運転中に突然、目が見えなくなった夫(伊勢谷友介)を、妻役の木村が介抱する場面から始まる。目が見えなくなった夫をだまして車を盗んだ男、診察した医師、同じ病院で順番待ちしていた患者、その患者とベッドを共にしたバーテンダー(ベルナル)……。病は各地で同時発生的に広がり、蔓延する。

 増え続ける患者たちが隔離される施設での修羅場が、この映画だけでなく、木村の演技の見どころだ。恐慌状態の患者の中から、バーテンダーが「暴君」になり、拳銃を手に食料や宝石、金品類に加え、「女をよこせ」と要求する。おののきながらベルナルに抱きすくめられる場面で、木村は恐怖と心が崩壊するさまを「目の演技」も含めて熱演した。

 ガエルの演技について、「シェークスピアの『リチャード3世』のような高圧的なせりふを、アドリブを入れて、本当に悪い人というより、子どもがわるさをするような感じを出していました。この状況だったら、こういうふざけたようになる人もいるのだろうと共感し、さすが!と思いました。目が見えないのに、マニキュアを塗るアドリブにはすごみがありました」。

■心酔するムーアと共演

 木村があこがれるムーアは唯一、目が見える役。隔離施設から仲間を連れて逃げ、スーパーでは食料品を強奪し、目の見えない群衆に襲われる。「目の見えない人との殺陣は怖かったのではないでしょうか。でも、ジュリアンは、自分がけがをしてでも、遠慮なく思い切ってやってくれ、というタイプ」

 木村はムーアが出演した「マグノリア」や、名匠ロバート・アルトマン監督「ショートカッツ」、ポルノ女優役だった「ブギーナイツ」も見た。

 世界の女優たちが俳優、母親としての苦悩を語るドキュメンタリー「デブラ・ウィンガーを探して」にも触れ、「シャロン・ストーンもジュリアンのファンと言っているし、女優さんの中でもジュリアンのファンは多い」と話す。その「デブラ〜」でストーンは、「ジュリアン・ムーアのような素晴らしい女優には恐怖すら覚える。あまりにすごすぎる。そうしたムーアの演技が、自身にとってエネルギーになる」と語る。木村も、ムーアとの共演を力にした。

「監督やスタッフに対する態度がぶれない。彼らの求めに積極的に協力して、何度でもトライしてみようという姿勢に感銘を受けました。女性として、女優としてジュリアンと3カ月いっしょにいられたことは、自分の人生にとって、とても意味のあることでした」

■「映画界、ボーダーレスに」

 「ブラインドネス」の監督は、ブラジルのフェルナンド・メイレレス。リオ・デ・ジャネイロのギャング抗争を描き、アカデミー賞候補になった「シティ・オブ・ゴッド」や、レイチェル・ワイズ主演「ナイロビの蜂」で知られる気鋭だ。原作者のノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴは、原作の世界観に普遍性を持たせるため、舞台となる時代と場所も不明にすることを求めたという。

 「ブラインドネス」では夫婦の会話を除き、全編を英語で演技した。英語での演技は初めてではない。「相手役が外国人だった『ドリーム・クルーズ』や、全編英語の『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』も、ありました」と話す。「スキヤキ〜」は、昨年のベネチア映画祭のコンペ作品だ。だが、世界の監督と俳優、それにブラジル、カナダ、ウルグアイで撮影を行った「ブラインドネス」は注目度、スケールが違った。「日本の映画をもっと外国に持っていって、国境を超えて、ボーダーレスになって……。そうして活気が出てくるといいと思います」と語った。

 マキノ雅彦監督の時代劇「次郎長三国志」や、楳図かずお原作の怨念の世界を映した「おろち」など、映画での活躍はめざましい。「雷に打たれたように、お芝居がうまくなることはないです。この仕事を12年ぐらいやっていますが、やはり、少しずつの積み重ねです」と言う。

 ところで、今年のカンヌ映画祭では、世界の映画が注視するレッドカーペットを、巨匠や名匠、セレブに交じり、木村は和服姿で歩いた。ムーアと談笑し、ベルナルと腕を組んで階段を上る姿は自信に満ちていた。

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