アンドリュー・スタントン監督=林正樹撮影
CGアニメーションの先頭を走る米制作会社ピクサーの新作「ウォーリー」が5日、全国公開された。29世紀の地球と宇宙を舞台に、1台のポンコツ・ロボットが必死の活躍をする物語。「ファインディング・ニモ」のアンドリュー・スタントンが監督を務めている。(石飛徳樹)
29世紀の地球はゴミに埋もれ、生物の気配もほとんどない。ゴミ処理ロボットのウォーリーは700年間、たった独りでゴミ収集をしている。人間がスイッチを切り忘れたせいだ。彼の楽しみは、古びた恋愛ミュージカルのビデオを見ること。そんな地球にある日、宇宙船がやって来て、美しいロボット、イブが姿を見せる……。
この物語を思いついたのは94年。まだピクサーの草創期で、最初の長編「トイ・ストーリー」を制作している時だった。「こんなに長く温めることはめったにないが、時間をかけて作るのは悪いことではないね。十数年分のアイデアを盛り込むことができた」
前作「ファインディング・ニモ」では海を泳ぐ魚をCGで表現して高い評価を得た。今回は宇宙が主舞台になる。「海と違って、宇宙はCGが得意とする分野だが、宇宙を描くこと自体が、私にとっては大変な魅力だった。70年代前後のSF黄金期の映画を見て育った人間だから」
そういえばウォーリーの造形がETに近いような……。「それは意識してなかった。亀のイメージ。でも首をキュッと引っ込めると、ETに似てるかな。ローテクのウォーリーに対し、イブはハイテクにしたかった。機能がすべて外から見えるのがウォーリーで、中に隠れているのがイブなんです」
男のウォーリーより、女のイブの方が何倍も強い。「それが僕の人生経験だから」
人間が現れるまでの前半はサイレント映画のようでもある。「静寂で孤独な感じを出したかった。ただ、完全な沈黙ではない。いろんな環境音が聞こえてくるはず。それがすごく重要な役割を果たしているんです」
今回の作品には少し実写部分がある。「実写のいいところは、即興演出が出来るところ。将来は実写映画の監督もやってみたいね。アイデアはあるんですよ」