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「ラーメンガール」のアッカーマン監督に聞く

2009年1月14日

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写真ロバート・アラン・アッカーマン監督写真写真いずれも、「ラーメンガール」から(C) 2008 Digitalsite Corp./Media 8 Entertainment

 米国人の金髪美女が、頑固一徹のラーメン店主に弟子入りしてしごかれる「ラーメンガール」が17日、東京・テアトル新宿で公開される。ネギ、たまご、チャーシュー……。具だくさんのどんぶりの中は、世界を映した小宇宙の象徴だとか。舞台演出でも知られる知日家ロバート・アラン・アッカーマン監督に聞いた。(アサヒ・コム編集部)

■「一杯の愛情」が心の栄養に

 下町情緒たっぷりの映画の主演に、「シン・シティ」出演など、ハリウッドで活躍するブリタニー・マーフィーを迎えた。かれんな彼女の、大仰な喜怒哀楽を見るだけでも楽しい。

 「愛情のこもった1杯のラーメンが、体だけでなく、心の栄養になり、人を成長させることを描きたかった」と言う。

 日本で働く恋人を追いかけて、日本にやってきたアビー(マーフィー)。だが、多忙な恋人は冷たく、迷惑がられる。落ち込むアビーは、近所のラーメン店でラーメンをすすり、元気を取り戻す。多くの人に笑顔を与えたいと、店主(西田敏行)に入門する。だが、口が達者で英語でまくしたてるアビーに店主は怒り心頭。日本語を話せ、トイレ掃除がなってない、鍋洗いが雑だ、ラーメンに魂がこもっていないとしかられ、ひっぱたかれる。

 監督は、オスカー女優で歌手のライザ・ミネリの紹介でマーフィーと出会った。「会った当初、マーフィーは頭の回転が速過ぎて、神経に障る感じがした。その第一印象が、この映画にうってつけだった。もちろん、素顔の彼女はキュートでスマートだけどね」と笑う。アビーはラーメン作りを通して、何事も他人に頼るばかりで、長続きしない自分を見つめ直す。

■「ラーメンは世界映す小宇宙」

 監督は、どんぶりの中に「世界」をかいま見る。「ラーメンに注がれた愛情は、国境や国籍、文化の違いを超えて人の心の底に響く。まるで、自己中心的に他者を審判するような独善がまかり通る世界への反論にもなっているね」

 日本人もハッとさせられる。アビーの苦心の結晶の「涙」が入ったラーメンを食べた客は、それぞれが抱える悲しみを思い出して、次々と涙する。アビーがトマトやピーマンを入れて作った自称「女神のラーメン」は、粗削りながら、店主の師匠にあたる達人(山崎努)をうならせる。「内に閉じこもり、固定観念にとらわれていてはいけない。『女神のラーメン』同様、この世界も『異物』同士が共存できるし、案外、いけるはず。ラーメンは世界を映し出す小宇宙だ」

 監督は舞台の演出家として知られ、こうも語る。「無名の若手俳優でも、チャンスを与えればアビーのように力を発揮する。実より名を優先する社会に、突破口をあけたいと思った」と話す。

 題材や展開は、伊丹十三監督の「たんぽぽ」に重なる。同作は、傾きかけたラーメン店を営む女性(宮本信子)を、山崎努、渡辺謙演じる長距離トラック運転手がたたき直し、行列のできる店に変える。

 「もちろん、『タンポポ』は見ているし、刺激を受けた。この映画は、『タンポポ』へのオマージュでもあるんだ。だから、山崎(努)さんに出てもらった」

 まるで、日本人が撮ったみたいだと言われるそうだ。監督自身、来日経験が豊富で、片言だが日本語も話す。脚本のベッカ・トポルは日本の大学に通い、禅を9年間学んだ成果だとも。西田演じる店主の妻に余貴美子、店主のライバル役に石橋蓮司、「ラスト・サムライ」「SAYURI」などの配役を手がけた奈良橋陽子も製作に加わった。

 アッカーマン監督が演出する舞台「ストーン夫人のローマの春」(テネシー・ウィリアムズ原作)は、2月28日から3月22日まで、東京・渋谷のパルコ劇場で上演される。

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