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矛盾が共存するインド 少年と駆ける 「スラムドッグ$ミリオネア」

2009年4月17日

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 今年の米アカデミー賞で作品、監督賞など8部門を独占した「スラムドッグ$ミリオネア」が18日から公開される。満足に学校にも通えなかったスラム育ちの少年が、路地裏で学んだ知恵で夢を実現させる物語。全編をインドで撮ったダニー・ボイル監督は、「あらゆる矛盾と極端が共存するインドの今を、少年と一緒に駆け抜けたかった」と振り返る。(深津純子)

 英国で生まれ、日本でもおなじみのテレビ番組「クイズ$ミリオネア」。そのインド版で快勝する主人公は、史上最高の賞金を目前に、不正を疑われ逮捕される。無学な青年になぜ難問が解けたのか。尋問を通して、彼の過酷な人生が明らかになっていく。

 「この撮影まで、インドには行ったことがない。クイズ番組にも興味はなかった」とボイル監督。「脚本が『フル・モンティ』のサイモン・ビューフォイの作だから読んだんだ。ものの10ページで『これは映画になる』と確信した」

 ムンバイのスラムからリッチな高層ビル群まで、急成長する都市の様々な顔を背景に、少年たちの成長を生き生きと描く。成功の夢と、貧困の悲惨。多面的な描写は、初訪問の土地とは思えない。

 「最初の1カ月はひたすら街を歩き回り、雑踏に耳を傾けた。映画を作るには考えすぎてはだめ。ロンドンの若者を撮るように、少年の目でムンバイを見た。直感を生かすため、撮影もドキュメンタリー的な方法を選んだんだ」

 青年期の主人公を演じるのは、英国のテレビ番組で人気のデーヴ・パテル。したたかな司会者役のアニル・カプールら、ボリウッド(インド映画界)の大物俳優も登場する。だが、国際的には無名のキャスト。しかもセリフの3分の1はヒンディー語。ビジネス面では不利な要素が並んだ。

 「当初は全部英語のはずだった。でも、子供を生き生きと描くにはヒンディー語の方がいい。英語とヒンディー語が交じったヒングリッシュも採り入れた。それが街の空気を伝える助けになった」

 米英の主要映画賞を独占した。

 「インド系やパキスタン系住民が多い英国では行けると思ったが、米国の人気は想定外。『ロッキー』のように楽しんでくれた。逆境を生き抜く物語はどの国でも共感できるはず。幅広い観客と出会えて本当に幸運だった」

 インドでの第2作を構想中。次はミステリーになるという。

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