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正反対の役作りに喜び 「真夏のオリオン」「MW」の玉木宏

2009年6月5日

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 映画は絵と音で出来ている。容姿端麗な俳優でも、声が悪いと興ざめする。その点、彼の甘みと深みを併せ持つ低音は、観客を魅了する。

 この声を最大限に生かしたのが映画「真夏のオリオン」だ。太平洋戦争の最末期、沖縄沖に出撃した潜水艦「イ―77」の艦長・倉本を演じる。冷静沈着で人情に厚い。人間魚雷「回天」を一度も使わなかった実在の艦長をモデルにしている。

 倉本はどんな窮地に陥っても声を張り上げない。「総員戦闘配置」といった命令さえ普段と変わりない口調。「軍人は男らしく命令するものだと思ってました。でも緊迫した時ほどゆっくり話した方がミスが起こりにくいんだそうですね。ただ、鋭さが全然ないとベタッとしちゃう。バランスが難しかった」

 日本の敗戦が近づく中、倉本艦長の「イ―77」は、強力な米の駆逐艦との決戦に臨む。血気にはやる「回天」の隊員に倉本は言う。「おれたちは死ぬために戦ってるんじゃない。生きるために戦ってるんだ」

 話しようによっては白々しくも聞こえるセリフ。これが説得力を持ったのも、やはり声の力によるところが大きい。「倉本は本当にすごい人。倉本のように行動すれば、混沌(こんとん)としたこの現実が変わっていくんじゃないか。映画を見た人がそう思ってくれたらうれしい」

 一方、次作「MW〜ムウ」で演じた結城は、冷徹に凶悪犯罪を重ねる最悪の人物だ。「正反対のイメージを提供できることは俳優としてうれしい。次々新しいイメージを作るのが好きなんです。今までの経験が生かせない役にトライしていきたい」

 前向きな考え方の背景には新人のころに出演した「ウォーターボーイズ」の存在がある。アフロヘアのブッ飛び高校生。今のイメージからは考えられない。「自分が見ても人格が違うんじゃないかと思いますよね。でもあれが今もベースとしてある。あそこまで振れ幅が行っちゃっても大丈夫なんだ、って」

 間もなく大ヒットドラマ「のだめカンタービレ」の映画版の撮影が始まる。美形指揮者の千秋を再び演じることについて「うれしい半面、同じ役は逆に怖い」と言う。「ドラマの時にやりきった感じがあったので。今回ちゃんと戻れるだろうかと思ったりするんです」

文・石飛徳樹、写真・鈴木好之

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 たまき・ひろし 80年生まれ。98年デビュー。映画「雨鱒の川」(04年)、「ただ、君を愛してる」(06年)、ドラマ「鹿男あをによし」(08年)、「篤姫」(同)など出演作多数。「真夏のオリオン」は13日、「MW」は7月4日公開。

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