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「MW」の山田孝之、手塚作品に「物の見方変わった」

2009年6月26日

写真山田孝之写真写真写真「MW」(C)2009 MW PRODUCTION COMMITTEE

 実社会の闇をあぶり出すかのような手塚治虫“禁断の作品”「MW(ムウ)」(岩本仁志監督)が映画化され、7月4日、各地で公開される。原作は70年代後半に連載されたが、権力の陰謀に対する手塚氏の冷徹なまなざしと悲憤は現代を射抜く。ダブル主演の一方で、神父を演じた山田孝之に作品へ込めた思いを聞いた。(アサヒ・コム編集部)

【動画】映画「MW」出演、山田孝之インタビュー

 「MW」と何か? この映画は観客に謎をかけているので、正体は秘めておこう。

 物語の発端は「16年前」にさかのぼる。沖之真船島という南の島で、住民が突然消えた。が、少年2人が生き延びた。それが、今、切れ者の外資銀行員の結城(玉木宏)と神父になった賀来(山田)だ。結城は上司や有力政治家らに不可解な「報復」を加える。賀来だけは結城の真意を知るが、止められない。新聞記者(石田ゆり子)、刑事(石橋凌)を含めた三つどもえの真相追跡劇だ。

 「手塚さんの作品は古びない。時代が変わっても、何も変わらないものを描いている。善と悪、法律や道徳、差別、社会の決まりごと、標準とか平均、普通とは何か。どれも、今、改めて考えさせられることばかり」

 事件は風化したかに見えた。が、16年前の悲劇を隠すため、日本と某大国が交わした密約が暴露される。謎の「MW」はどこに? 物語はまるで、その存在の有無が物議を醸し続ける沖縄返還に伴う日米間の「密約」を透かすようだ。ちなみに、「MW」の意味は諸説あるが、その一つに「MAD WEAPON」(狂気的な兵器)に由来するという説もあるそうだ…。

 「この映画以後、政治を勉強するとか、新聞をよく読むようになった訳ではない。が、政治や法律、警察、メディアの発表したことがすべて正しく、事実であるわけではなく、作られたり、操作されたりしていることがあると疑いを持つようになった」と語る。だからこそ、自分なりの物の見方、考え方の大切さを改めて感じたという。

 その心構えは、演技に生かされたのか?

 「善とか悪とかの枠組みを意識せず、(賀来の)その時の気持ちを想像して、それに従った」と話す。

 共演の玉木と演技上の相談はしなかったという。「玉木さんは、アクションがたくさんある結城役だから楽しそうじゃないですか。なのに、僕は葛藤でもやもやしている役。玉木さんをうらやむ気持ちを、神父役の演技に生かした」

 また、意に反して犯罪に加担する神父を演じる中で、「人間の行動に正解、不正解はない。ひとは他者に否定されないし、他者を否定する権利もない」との思いを強くしたようだ。

 アキバ系オタクの淡い恋を映した「電車男」が出世作だが、テレビドラマでは、ちょっと優柔不断でシャイないい男を演じることが多かった。だが、最近、伝説的なワルを演じた「クローズZERO」、ナンセンス喜劇調の「鴨川ホルモー」など、振り幅の大きい突き抜けた役が目立つ。

 「これまでラブストーリーが多かったが、今、(力がついて)やりたいことができるようになった。これから、もっと面白いことをしたいし、演じていて面白いと感じ続けていたい」と話した。

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