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熱血のヤンクミ、卒業 仲間由紀恵さん

2009年7月17日

写真仲間由紀恵さん

 テレビで育った人には、心の中に、自らの青春時代に夢中になった学園ドラマがあり、理想の教師像がいる。

 熟年世代なら「飛び出せ!青春」の村野武範か。時代が下って「ゆうひが丘の総理大臣」の中村雅俊、「熱中時代」の水谷豊……。最も息が長いのは「3年B組金八先生」の武田鉄矢だろう。そして、現代の若者たちの心に生きているのは、間違いなく「ごくせん」のヤンクミこと山口久美子である。

 仁侠(にんきょう)の世界で育ったこの熱血(すぎる?)教師を最初に演じたのが02年。3年ごとに計3シリーズ放送され、今回、銀幕に進出した。「今の生徒は、『ごくせん』見て育ちました、って言うんですよ。もう7年になるんですね。でも、こんな風に、見た人たちの心に残ってくれたら本当にうれしいですよね」

 ヤンクミの魅力は「落差」にある。普段は眼鏡にお下げ髪の実にダサい格好。しかし、見せ場では髪をほどき、眼鏡をはずして絶世の美女に変貌(へんぼう)する。あるいは、生徒と馬鹿をやって空回りする時の脱力感と、ストレートな物言いで人倫を説く時の緊張感。その落差の激しさが、視聴者にカタルシスを与える。

 「最初は手探りでした。当たり前だけど、落差が大きくてもヤンクミは一人の人間なんですよね。落差を強調しつつ、一人の人間として切れ目がないように見せるのが難しかった。今ではジャージーを着ると、自然にヤンクミになれますけどね」

 主演ドラマがシリーズ化され映画になったのは、売れないマジシャンを演じた「トリック」に続いて2本目だ。この10年で人々にこれだけ長く愛されるキャラクターを二つも持った俳優はいない。「こんなに長く演じるとは思ってなかった。偶然の出あいですよね。狙って作れるものじゃないですから」

 10代でデビューし、まもなく30歳になる。「20代にたくさん勉強させてもらい、いい作品にも巡り合った。でも、これからは『偶然出あって良かった』ではなく、一つの役を演じることにもっと責任を持って、20代の経験を具体的な形にして出せるようにしていきたい」

 ヤンクミはこれで最後だという。「ごくせん」を卒業して、どんな俳優になっていくのか。30代の仲間由紀恵がますます楽しみになってきた。

(文・石飛徳樹 写真・鈴木好之)

    ◇

 なかま・ゆきえ 79年、沖縄県生まれ。00年に「リング0〜バースデイ」で注目される。06年にはNHK大河ドラマ「功名が辻」に主演。ほかにドラマ「ありふれた奇跡」など。「ごくせん THE MOVIE」は全国公開中。

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