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マレーシア映画界の名匠、ヤスミン・アハマド監督逝く

2009年8月9日

 東南アジア映画の新潮流をリードしてきたマレーシアの女性監督ヤスミン・アハマドが先月25日に51歳で脳出血で死亡した。多民族国家の現実をユーモアと風刺を交えて描いた作品は、日本でも様々な映画祭で上映され人気を集めた。日本ロケもある新作にとりかかる矢先の急逝だった。

 英国の大学を卒業後、マレーシアの広告会社のCMディレクターに。異文化理解や弱者支援などのメッセージCMで高い評価を得た。03年の初長編「ラブン」で、映画界に進出。少女オーキッドを主人公とする自伝的連作で国際的な注目を浴び、マレーシアやシンガポールの若手監督のサポートにも尽力した。

 自称「語り部」。誰にでもわかる娯楽性を大切にした。一方で、マレー系、中国系、インド系が共存するマレーシアの文化間対立や差別構造にも鋭く切り込み、本国では上映中止の危機にもたびたび直面した。マレー系の少女と華人の少年の初恋を描いた第2作「細い目」(04年)で東京国際映画祭(TIFF)の最優秀アジア映画賞を受賞。亡くなる前の自身のブログでは、TIFFなどでの評価が活動を続ける支えになったと述懐していた。

 母方の祖母は日本人。最も好きな映画に「男はつらいよ」を挙げた。次回作「ワスレナグサ」は祖母をモデルに自らのルーツを探る内容で、10月には石川県などで撮影を予定していた。

 今年完成した第6作「タレンタイム」は9月のアジアフォーカス・福岡国際映画祭で海外初上映され、10月のTIFFでも同作を含む追悼企画を検討している。旧作4本の日本語字幕入りプリントはコミュニティシネマセンター(050・3535・1573)で貸し出している。

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