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「平凡な男」の非凡な話 D・ワシントン、新作を語る

2009年8月31日

写真:184センチの長身。骨太で堂々とした体格だ184センチの長身。骨太で堂々とした体格だ

写真:米映画「サブウェイ123 激突」から米映画「サブウェイ123 激突」から

写真:米映画「サブウェイ123 激突」から米映画「サブウェイ123 激突」から

 4人組の男がニューヨークの地下鉄をハイジャック。犯人からの無線連絡を受けた運行指令室の指令係は、交渉役を任され、事件に本格的に巻き込まれていく――。米映画「サブウェイ123 激突」(9月4日、全国公開)で、指令係の地下鉄職員を熱演した米俳優デンゼル・ワシントンに話を聞いた。(アサヒ・コム編集部)

 184センチの長身。この映画の役作りで11キロ太った体重は元に戻ったというが、骨太でがっしりした体格だ。バスケットボール好きで知られるが、息子がアメリカン・フットボールでプロ入りしたのもうなずける。今も舞台をこなすだけに声量も大きく、野太く、しわがれた声で豪快に笑う。

 「私が演じたガーバーは太りすぎで、コーヒーを自分の上にこぼしてしまうような、ごく普通の男だ。役柄としてもそこが気に入ったんだ」

 映画の冒頭、どこか風采の上がらない地下鉄職員、ウオルター・ガーバーの一面が映し出される。同僚から「マエストロ(巨匠)」と呼ばれるほど地下鉄を熟知しているが、どこか落ち着かず、目元は不安げに泳いでいる。車両発注をめぐる収賄疑惑が表面化し、ガーバーはその渦中にいた。管理職を解かれて現場に戻された上、停職処分になることが決まっていた。

 「今回の映画の主人公は、アクション・ヒーローでもなければ、ギャングスターのようなわかりやすいキャラクターでもない。間違いも犯すし、昼めしをポリ袋に包んで職場に持っていくような、どこにでもいる平凡な男だ」

 事件当日、運行を管理する指令係を務めていたガーバーは素早く異変に気づき、当該車両に無線連絡を取る。無線を取った犯行グループのリーダーでライダー(ジョン・トラボルタ)と名乗る男は、人質を「商品」と呼び、ウォール街の金融用語を連発する。一方で、罪の告白を意味する「告解」など難解なカトリック用語も飛び出す。事件が動く終盤を迎えるまで、映画の見どころは、エキセントリックなライダーと、ライダーの性格や背景を素早く読み取り、当意即妙の答えを返していくガーバーとの無線を通したやりとりだ。

 交渉のペースをつかんだかに見えたガーバーが言葉に詰まる瞬間が訪れる。収賄疑惑をつかんだライダーがガーバーに「告解」を求める場面だ。ガーバーは疑惑を否定してみせるが、ライダーは納得せず、人質に銃口を突きつける。交渉を指南するカモネッテイ警部補(ジョン・タトゥーロ)や同僚が見つめる中、ガーバーは無線を取る。

 「無線を通して関係を深めていった結果、ガーバーはぎりぎりの所まで追い込まれ、決断を迫られる。『もし、あなたがガーバーならどうする?』と問いかけてみたいね」

 オスカー2冠にも輝いたハリウッドのベテラン俳優自身は、「普通の男」ではないはずだ。それでも、「1日の終わりにベッドルームのドアを閉めて歯を磨くときは、誰だって平凡な普通の男だ」と笑う。映画の中で気に入っているのも「一日の始まりに地下鉄で職場にやってきたガーバーが、長い一日の終わりにいつも通り地下鉄に乗って帰る場面だ」という。

 「私は平凡な男だが、今年起きたこの二つは非凡な出来事だった」と振り返るのは、オバマ大統領の誕生とマイケル・ジャクソンの死だった。

 1月18日、首都ワシントンのリンカーン記念堂で行われたオバマ大統領就任の祝賀コンサートで演説した。「合衆国新大統領から直々に電話を受け、開会のスピーチを頼まれた」という。

 マイケルの思い出も尽きないようだ。

 「マイケルがわが家に来て夕食をともにした時のことだ。品のいいベジタリアンだと勝手に思っていたら、妻が作ったフライド・チキンを山ほど食べたんだ。いいやつだった。いい男だったよ」

 平凡な男にはあり得ない思い出を、俳優は語ってくれた。

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映画の詳細はこちらをご覧くださいアサヒ・コム特集『サブウェイ123 激突』

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