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「イメルダ」に迫るドキュメンタリー マルコス政権下 育った監督

2009年9月13日

 86年の民衆蜂起まで20年にわたってフィリピン大統領夫人として権力の中枢に君臨したイメルダ・マルコス。その実像に迫るドキュメンタリー「イメルダ」が、12日から東京・ポレポレ東中野で公開される。マルコス政権下で育ち、16歳で渡米したラモーナ・ディアス監督が、5年がかりで完成させた。

 3千足の靴と6千着のドレスを残して宮殿を追われた女帝も、今年80歳。91年に亡命先の米国から帰国し、4年後に国会議員に当選。不正蓄財容疑で訴えられるが、裁判で次々無罪を勝ち取っている。

 映画は、有力政治家一族に生まれ、気鋭の政治家の妻となった美少女が、権力と富を意のままに操るまでの過程を、夫人自身の述懐と家族や関係者の証言で描く。

 「戒厳令世代の私は、着飾った大統領夫妻のニュースを見て育った。マルコス政権とは何だったのかを探ることは、自然の成り行きでした」と監督は語る。

 「話し出したら止まらない」という夫人の回想は、後悔や内省とは無縁。「私が美しくあることで国民は喜び、国家のイメージも向上する」と胸を張り、華麗な交友録を開陳し、自ら命じて作らせた豪華な公共施設をリムジンで案内する。

 「『ああいう施設がほしい』とすぐ言うので、夫人の外遊は恐怖だったと打ち明ける側近もいた。庶民とは無縁の施設に血税を無駄遣いしたのも、彼女にかかると『外国に行かなくてすむのだから、国民の利益よ』。周囲の人々が『怪物』と呼ぶのが納得できました」

 「ただ、暗愚と呼ぶのは違う。頭は切れるしカンもいい。夫が希代の秀才なら、彼女は直感型の才女。夫妻が才能の使い道を誤ったのがつくづく残念です」(深津純子)

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