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ドキュメンタリー映画「犬と猫と人間と」 飯田基晴監督に聞く

2009年9月14日

写真:「犬と猫と人間と」の飯田基晴監督「犬と猫と人間と」の飯田基晴監督

■足長おばあちゃんに頼まれて

 「あなたに映画を撮ってほしいの。製作費はこちらで用意します」

 デビュー作を見に来た観客から、突然こんな申し出を受けた。初対面のおばあちゃん。「捨て猫を長年世話してきたけれど、もう限界。動物愛護について、誰でもわかる映画を作ってほしい」と言う。

 夢のような話だった。デビュー作「あしがらさん」はホームレスのドキュメンタリーだし、自身も特に動物好きではない。だがおばあちゃんは真剣だった。愛護団体に寄付するより映画で広く伝えたい、家族も了解済みだという。「でも、なぜ僕に?」。戸惑う監督にぴしゃり、「私は人を見る目はある方なのよ」。

 手探りの取材が始まった。関連書籍を読みあさり、施設や愛護団体に通った。毎年30万頭以上の犬猫が殺処分される一方で、動物とのふれあいを売り物にするビジネスは急成長。動物に癒やしを求め、いらなくなったら放棄する。動物の問題は人間社会の問題だと気がついた。

 「保護施設の関係者が、すぐそばの老犬に目もくれず、若い犬の譲渡先を相談する光景に『あしがらさん』のホームレスの姿が重なった。救いたくても救えない。だから目を合わせられない。前作と共通する命の問題がここにもあると気づいた」

 130時間の記録を、悩みに悩んで削った118分の「犬と猫と人間と」は、来月10日から東京・渋谷のユーロスペースで公開。おばあちゃんとの出会いから5年半、約束を果たせる日がやっと来る。(深津純子)

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