現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 映画・音楽・芸能
  4. 映画
  5. 記事

悲恋と日台関係重ね 「海角七号」魏徳聖監督

2010年1月9日

写真:魏徳聖監督拡大魏徳聖監督

 ご当地で空前のヒットを記録した台湾映画「海角七号 君想(おも)う、国境の南」が東京・シネスイッチ銀座で公開中だ。台湾最南端の海辺の町を舞台に、日本人と台湾人のカップル2組の恋の軌跡を軽やかなタッチで描く。

 ミュージシャンの夢破れ、故郷の町で郵便配達をする青年(范逸臣(ファン・イーチェン))が「海角7号」あての小包を見つける。日本統治時代の古い地名で、届け先がわからない。中には、敗戦で引き揚げた日本人教師(中(あたり)孝介)が、現地に残した台湾人女性につづった恋文の束が入っていた。

 1968年生まれの魏徳聖(ウェイ・ダーション)監督の第1作。戦前の住所が書かれた日本からの手紙が2年がかりで受取人に届いた、という新聞記事をヒントに、自ら脚本を書いた。

 「手紙がラブレターだったら……と想像を膨らませるうちに、果たせぬ思いを抱えた人々の物語になった」と魏監督。

 青年は音楽への情熱を捨てきれず、地元のバンドに参加。マネジャー役の日本人女性(田中千絵)とケンカを繰り返しながらもひかれ合う。コミカルな現代のロマンスに、60年前の切ない恋文の文章がそっと重なる。

 〈君を捨てたんじゃない。泣く泣く手放したんだ〉

 恋文は、ときに日本が台湾にあてたもののようにも響く。「当初は古風で美しい文章にすることだけを意識した。でも、手直しするうちに、悲恋と国の関係が重なって。政治問題になるような歴史ではなく、ふつうの人々が体験した歴史を描いてみたくなった」

 愛憎両面ある対日感情、多民族社会の摩擦、世代間の断絶。「多彩な登場人物を通して台湾社会の多様な面を描いたことが、幅広い観客を引きつけたのだと思う」

 次回作は「霧社事件」が題材。戦前に起きた台湾先住民の抗日蜂起を描く。「重い話だからこそやりがいもある。素直な感動を誘う人間ドラマを目指します」(深津純子)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内