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「日本映画、よき伝統へ回帰」 モントリオール映画祭

2010年3月16日

写真:「日本映画の独特の美しさは、細部に至る気配りからきていると思う」と語るセルジュ・ロジーク氏=カナダ・モントリオール拡大「日本映画の独特の美しさは、細部に至る気配りからきていると思う」と語るセルジュ・ロジーク氏=カナダ・モントリオール

表:モントリオール世界映画祭での日本作品、監督の主な受賞歴拡大モントリオール世界映画祭での日本作品、監督の主な受賞歴

 カナダのモントリオール世界映画祭は近年、日本の作品や監督に高い評価を与え続けている。なぜ日本映画は受けるのか。総合ディレクターのセルジュ・ロジーク氏に聞いた。

    ◇

 同映画祭は、1977年にロジーク氏が創設。今夏で34回目を迎える。99年、「鉄道員(ぽっぽや)」で高倉健が主演男優賞。2006年に「長い散歩」(奥田瑛二監督)、08年には「おくりびと」(滝田洋二郎監督)がグランプリを受賞。09年には「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」の根岸吉太郎監督が最優秀監督賞に選ばれるなど、特に1990年代後半以降、日本作品の高評価が目立つ。

 ロジーク氏は「作品の評価は、審査員の厳格な審査で決まっている。立場上、個々の作品についてコメントはしない」としつつも、日本映画について「現代的なスタイルを見せつつ、日本のよき伝統へ回帰した作品が増えてきたと感じている」と評価する。

 「私は北米に日本映画の魅力を伝えた最初の人間だ。伝道師みたいなものだ」と語るように、ロジーク氏の日本映画への愛情は、極めて深い。

 60年代、日本映画の上映会を企画し、モントリオールやパリなどを巡回。五所平之助監督の日本初のトーキー映画「マダムと女房」をはじめ、小津安二郎や溝口健二、成瀬巳喜男、小林正樹ら名監督の作品が大半を占めたという。

 コンペ作品の選定には、総合ディレクターであるロジーク氏の意向が強く反映されており、年に1度は作品を求めて日本、中国を訪れる。

 「世界中のすぐれた映画をそろえるのが私の役割。これ、と思う作品があったらすぐに映画祭事務局に電話をかけて指示をする。即断即決。豊臣秀吉のようにね」

 映画史上で最高の監督と評価するのは、今年生誕100年の黒澤明監督。遺作「まあだだよ」を撮影中のスタジオも訪れたという。「チャプリンやジョン・フォードは確かに偉大だが、黒澤ほど様々なジャンルで傑作を作った監督はいないでしょ」

 黒澤作品の主役を何度もつとめた三船敏郎とも親交が厚く、85年には審査員として招いている。「モントリオールには、日本映画と向き合ってきた長い伝統がある。日本映画に長年親しんできた観客がたくさんいるんですよ」(西正之)

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