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僕たちの「粋」映画に 石井裕也監督、新作2本連続公開

2010年4月26日

写真:「川の底からこんにちは」「川の底からこんにちは」

写真:石井裕也監督石井裕也監督

 大学の卒業制作映画で注目された石井裕也監督が、2本の新作「川の底からこんにちは」と「君と歩こう」を発表した。東京・渋谷のユーロスペースで連続公開される。海外の映画祭でも評価される自主映画界の気鋭がいよいよ本格始動する。

 5月1日公開の「川の底から」は、東京の片隅でパッとしないOL生活を送る佐和子(満島ひかり)が主人公。しじみ専門の零細水産会社を営む父親が倒れ、子持ちのバツイチ男を連れて故郷に戻る。海千山千の従業員を相手に、彼女は会社の再建を目指す。

 石井監督は大阪芸大時代に作った「剥(む)き出しにっぽん」(2005年)がぴあフィルムフェスティバルのグランプリや、香港のアジア・フィルム・アワードでのアジア新人監督大賞など国内外で賞を受けた。その後、3本の長編を自主製作している。今回は、ぴあなどが資金を出した監督初の商業映画だ。

 現代への危機感から佐和子というヒロインが生まれたという。「バブル後に育ち、所有への執着を感じない僕たちにとって、何が幸せなんだろうって考えていた。それは粋という精神じゃないかと」

 佐和子は「中の下」を自認する。「彼女は救世主だけどジャンヌ・ダルクではない。現代の救世主は色々あきらめている。しかしネガティブを逆手に取って前に進もうとする。それが粋じゃないか。そんな生き方を示すのが僕たちの仕事だと思う」

 15日公開の「君と歩こう」は、地方の男子高校生(森岡龍)と教師(目黒真希)が駆け落ちし、東京の片隅で暮らす物語。商業映画として起承転結をきちんと持つ「川の底から」に対し、こちらは自主製作時代の作品に似て、緩い構成になっている。

 2作は並行して作られた。「いつかは商業映画をやらなきゃと思っていたんだけど、その一方で『うるせえ』と言ってる自分がいた。それで意味や論理といった商業映画に必要な要素を超えて作りました。『川の底』があったからこちらは思い切り感覚の映画にすることが出来た」

 ユーロスペースでは8〜14日、石井監督の過去の作品もレイトショー上映する。(石飛徳樹)

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