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太宰に詐欺師、役柄変幻自在 異彩放つ演技派・生田斗真

2010年6月4日

 アイドルシーンを席巻するジャニーズ事務所のタレントの中で、演技派として異彩を放つ。

 冷笑、放蕩(ほうとう)、破滅……。主演映画「人間失格」が記憶に新しい。原作の太宰治が自己投影したといわれる男の屈折した心象を、陰影深く演じた。その彼が、今度は一転、不条理喜劇で新機軸を打ち出す。

 映画「シーサイドモーテル」(守屋健太郎監督、5日公開)は、山あいのモーテルでだまし合いが繰り広げられる密室劇。素性の怪しい有象無象の一人、いんちき美容クリームを売る詐欺まがいの営業マン。誘惑してくるコールガール(麻生久美子)に対して売りつけにかかるが、手玉にとられるダメ男。借金漬けのギャンブラー、性的不能に悩むスーパーの社長、伝説の拷問師らも入り乱れる。

 「俳優として『突破したい』と思っていたけれど、今回の役どころは、くすぶっている若者の設定だった。でも、役に共感しながら演じられた。役が自分のキャラクターに近いとか遠いとか、あまり考えない」

 いつかホンモノになるときが来る――。「今の自分」から抜け出そうともがくせりふは、むろん「作り物」だが、新境地を求め続ける飢餓感は、自身の心情にも重なりそうだ。

 この「シーサイド」では、麻生との掛け合いの連続で、速射砲のように言葉を繰り出す。「丁々発止の会話劇。飛び道具なしで、自分の力量にかかってくる。今回、それがおもしろかった」と語る。

 ドラマ「魔王」では熱血刑事、劇団☆新感線の舞台「キャット・イン・ザ・レッド・ブーツ」では引きこもりの青年、ミュージカル「グリース」では不良のダニー、そして太宰に詐欺師。「映画を見た人が、自分の演技を通して一歩を踏み出す勇気、おれも頑張ってみようかな、という気持ちになってもらえたら」

 7月から始まる連続ドラマ「うぬぼれ刑事(でか)」(TBS系)に出演し、一青窈のヒット曲を題材にした映画「ハナミズキ」の公開も夏に控える。

 「心から楽しめるものに出会えた、と思ったのが芝居。いろんな人がかかわって一つの作品に仕上げ、人の心を動かしていく。『こいつに、この役をやらせたい』と思ってもらえる役者になりたい」(小林裕子)

    ◇

 いくた・とうま 1984年生まれ、北海道出身。NHK教育「天才てれびくん」で芸能活動を始める。ドラマでは「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜」で注目され、「魔女裁判」に主演した。

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