現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 映画・音楽・芸能
  4. 音楽
  5. 記事

元甲子園球児が紡いだ「再生の詩」、CDに

2008年8月25日

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真ベッドに寝たまま、口にくわえた棒でキーボードをたたいて詩を書く清水哲さん=大阪府枚方市写真クリスタルキングの元ボーカル田中雅之さん=ダブルエー提供

 野球の試合中の事故で首から下の自由を失ったPL学園高校(大阪府富田林市)出身の清水哲さん(42)が紡いだ詩がCD化され、9月3日に全国で発売される。タイトルは「生きる」。やはり野球の事故で独特の高い声を失い、死も考えた田中雅之さん(57)が曲をつけて歌う。「大都会」などのヒット曲で知られるクリスタルキングの元ボーカルだ。

 勇気をもって生きること、、、生き抜くことに価値があるはず

 夢を観(み)るんだ あの時代(ころ)のように 僕が僕である為(ため)に

 30歳ごろに書いた「生きる」は、重度の障害を負い、「こんな僕が生きててええんかな。生きる意味なんてあるんかな」と考える中で浮かんだ詩だ。甲子園でプレーした高校時代のように輝いて、夢をもって生きたいという思いを込めた。

 清水さんはPL学園3年の春と夏、一つ下の桑田真澄さん(40)や清原和博さん(41)と甲子園に出場し、ともに準優勝した。同志社大に進学し、1年生からレギュラーに。しかし、試合中に頭から滑り込んだ際に野手とぶつかって首を骨折し、自力で動けなくなった。

 自暴自棄になったが、20代後半から口に棒をくわえてキーボードをたたいて詩をつくり始め、生きる希望を取り戻した。これまでに約400編を書きため、詩集も出版した。

 田中さんとの出会いは今年3月。大阪市であった清水さんの講演会に、知人のすすめで田中さんが足を運んだ。

 田中さんは86年にクリスタルキングを脱退。ソロ活動をしていた91年、草野球の試合中にのどに打球を受け、自慢の「ハイトーンボイス」が出なくなった。一時は「死んじゃおうかな」と悩んだ。清水さんの講演を聞いて、「高音が出なくても、おれはまだ歌える」と吹っ切れた。

 講演後、清水さんに会って「曲をつくらせてくれ」と頼み、快諾を得た。以来、高い声を出している昔の自分の悪夢を見なくなった。

 田中さんは「試練ばかり与える神様、運命への怒り、そしてその中で生きていく人間の強さを歌で表現したい」と話す。

 清水さんは「子どものころにテレビで見ていた歌手が自分の詩を歌ってくれるなんて。想像もつかないことが起きるから、生きることは面白い」と笑う。「どんなに行き詰まっても、自分の可能性の限界を決めつけてはだめ。この歌を通じて、生きる気力を与える手助けができれば最高です」

 田中さんは、9月5日午後7時半から神戸市中央区のライブハウス「チキンジョージ」(078・332・0146)でライブをし、「生きる」を披露する。(渡辺芳枝)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内