現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 映画・音楽・芸能
  4. 音楽
  5. 記事

演歌+ソウル=「エンソル」 尼崎のフレディーさん人気

2010年3月28日

写真「関西空港」を歌うフレディーさん=兵庫県尼崎市長洲西通1丁目の「あま湯」、山下写す写真関西空港のCDジャケット=Pヴァイン・レコード提供

 米国人のシンガー・ソングライター、フレディー・スネディコーさん(48)が、演歌とソウルミュージックを融合させた「エンソル」という独自の音楽を掲げて活動している。拠点は週2回のライブを開く兵庫県尼崎市の健康ランド「あま湯」。風呂上がり客の前で熱唱すれば、浴衣姿のおばちゃんたちがノリノリで踊りだす。ファンクラブも結成され、人気急上昇中だ。

 平日の昼下がり、あま湯のビアレストランに設けられたステージ。黒人音楽の一種、リズム・アンド・ブルース(R&B)の強いビートに乗せてフレディーさんがこぶしをきかせると、ファンの女性たちが立ち上がり、両手を広げて一緒に歌っていた。毎週欠かさずライブに来るという尼崎市杭瀬南新町4丁目の小川房子さん(83)は「最初はびっくりしたけど、すぐにファンになった。歌に合わせて踊れるのがうれしいねえ」。

 アラバマ州出身。音楽プロデューサーの父に幼いころから楽器の手ほどきを受けた。1981年に海軍の一員として来日。85年に横須賀で除隊し、帰国するつもりだったが、音楽の仕事を引き受けるうちに東京に居着いてしまったという。ギターやベースの奏者としてKANやもんたよしのりらと共演した後、93年からは神戸で暮らし、バーやホテルで演奏してきた。

 あま湯でライブを始めたのは2005年。妻の父親が健康ランドの経営者で、出演を打診された。最初は洋楽を歌っていたが、「演歌も聴きたい」というおばちゃんたちのリクエストに応え、美空ひばりの「悲しい酒」をレパートリーに加えた。「歌い方に味のある演歌は新鮮だった」。そんなころ、ふと「R&Bに演歌調のメロディーを乗せて歌ったらどうだろう」とひらめいた。エンソルが生まれた瞬間だった。

 07年、フラれた男の悲哀を歌った初のエンソルのCD「ちょっと待って」を自主制作。まったく売れなかった。だが昨年10月、2枚目となる「関西空港」(Pヴァイン・レコード)を出すと、じわじわとファンが増え始めた。

 家族でハワイ旅行に行くはずだったのに、急に仕事が入って自分だけ行けなくなったときの寂しさを歌った曲。関西空港で妻子を見送った日の晩、家に帰って焼酎をあおり、日本語の辞書とにらみ合いながら書き上げた。

 2月末時点で約1400枚が売れた。レコード会社の担当者は「つたない日本語だからこそ思いがストレートに伝わってくる」と話す。口コミやネットで評判が広がり、テレビでも取り上げられた。いまはライブで歌っている「いとしのエリー」から着想を得て、3枚目となるエンソル「愛(いと)しいいの神戸」を制作中だ。

 「もっとたくさんの人に音楽で愛を伝えたい」とフレディーさん。毎週月、金曜の午後2時と7時から、あま湯のステージに立つ。問い合わせはPヴァイン・レコード(03・6234・1210)へ。(山下龍一)

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内