新日本フィルハーモニー交響楽団のソロ・コンサートマスター崔文洙(チェ・ムンス)が、25日、東京・紀尾井ホールで初の「ひとり舞台」に臨む。普段は指揮者と楽団員の間で「交通整理」をしているが、「音楽家として原点を見つめ直す」ために、ソロ公演に挑む気になったという。
この日演奏するベートーベンの協奏曲では、新日本フィルを従え、指揮と演奏の両方を務める。「久しぶりに舞台で創造的に何かを壊す経験ができそうです」
88年にモスクワ音楽院に留学、9年間ロシアで研鑽(けんさん)を積んだ。帰国と同時に小澤征爾の招きで新日本フィルのコンマスに就任、今も小澤の信頼は厚い。先月、東京・すみだトリフォニーホールで開かれた演奏会でも、足の痛みに耐えて指揮台に立つ小澤をテンポ、ニュアンスの両面からサポート、小澤らしい熱さをたたえたチャイコフスキーの「悲愴(ひそう)」に貢献した。
指揮者が密度の濃い音楽を紡いでいる時に、あえて間をとることも。冷静にバランスをとり、最後に指揮者の思いを実現するのがコンマスの腕の見せどころだが「誰かに率いられているというより皆で大きな室内楽をやっている感覚。楽団の誰もがひとりの音楽家として音楽に向きあっていることを、今回聴衆に伝えることができれば」。
午後7時開演。ブラームスとプロコフィエフのソナタでは、兄の崔仁洙(チェ・インス)がピアノで共演する。新日本フィル(03・5610・3815)。(吉田純子)