シャンソン歌手の石井好子が、フランスの歌手ダミアの作品を歌ったアルバム「ダミアからDamiaまで」を出した。85歳。最後の録音作品になるという。
ダミアとの出会いは戦前にさかのぼる。東京音楽学校でドイツ歌曲を学んでいた頃、SPレコードでダミアの歌声を聴いた。「癖のあるしゃがれた声で、暗い人生を歌っていた。知らない世界を垣間見て、すっかり魅せられた」
20代でダミアの曲を歌ったが、「若すぎる」と批判も出た。渡仏して生のステージを見た時、「人生経験が足りない。まだ早いと納得した」。再びダミアを歌い出したのは30年後だ。
ちょうどその頃、高い声が出なくなる。「私、前半30年が初代、後半30年は2代目と言えるくらい声が違うの」と笑う。「自然の流れに逆らわずに下げていったら違う人になっていた」
「2代目」になって、ドラマチックに歌える手応えを得た。新譜には代表作「暗い日曜日」など13曲を収録。「85歳の情熱を込めました」
46回を数えるシャンソンの祭典「パリ祭」が7月5、6の両日、東京・NHKホールで開かれる。沼津(12日)、名古屋(15日)なども回る。例年トリを務めるが、「今年で最後。もう気楽なポジションで歌いたいわ」。東京はダミアの「かもめ」で締めくくる。実行委(03・3533・1300)。(西正之)