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肩にかけて演奏する復元「チェロ」 寺神戸亮がCD

2008年7月4日

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写真ビオロンチェロ・ダ・スパッラを手にする寺神戸亮

 バッハらバロック期の作品では、チェロは脚の間に構えるタイプではなく、肩に掛けて弾くビオロンチェロ・ダ・スパッラも頻繁に使われていた――。バイオリニストの寺神戸亮が、復元された楽器でバッハ「無伴奏チェロ組曲」のCD(DENON)を出した。「無理のない技巧で弾ける。響きも軽やか」と話す。

 ビオロンチェロ・ダ・スパッラは、オランダの音楽学者L・スミスらの研究で注目されてきた。ベルギーの古楽器奏者S・クイケンの依頼で、日本在住のバイオリニスト兼楽器製作者D・バディアロフが03年に復元した。

 寺神戸は、師のクイケンに「この楽器で一緒にバッハのブランデンブルク協奏曲を」と誘われ、05年に入手した。「バイオリニストの僕がチェロの音域を楽しめる。暇さえあれば、バッハの無伴奏を練習してきた」と言う。

 寺神戸によると、「ビオロンチェロ」はバロック期には多義的な言葉だった。通常のチェロを表す一方、ビオロンチェロ・ダ・スパッラ、ビオラ・ポンポーザ、ビオロンチェロ・ピッコロなど様々な名前で登場し、これらは一つの楽器を指す可能性があるという。

 17世紀末の銅版印刷の譜面のチェロ・パートに、ビオラを大きくしたような楽器を斜めに構えて演奏する絵が添えられていたり、バッハの弟子のフォルケルが、師がビオラ・ポンポーザを発明したとして「バンドで肩にかけて構える」と記述していたり、といった傍証がある。

 「バッハは、バイオリン曲でも指使いなどで楽器に無理を強いていない。ビオロンチェロの曲も同じで、技術的に演奏しやすい楽器を用いているはず」と、ダ・スパッラが頻繁に用いられた可能性を示唆する。

 今回、バッハの無伴奏組曲を録音して、その思いがより強くなったという。「これまでのチェロでは、左手親指を使わないと演奏できないパッセージやとても難しい弓の動きが要求される分散和音なども、バイオリンと同じ指使いや弓使いで弾きやすくなる。響きもスリムで、舞曲本来の軽やかなテンポが表現できる」

 今後はバッハはもとより、17世紀後半から18世紀に活躍した作曲家のビオロンチェロの作品に光を当て直したいという。ドメニコ・ガブリエッリ、アントニオ・カルダーラらだ。「通常のチェロでは弾きがいがないと思われていた曲を、ダ・スパッラによって生き返らせたら面白い」(上坂樹)

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