「まだまだやるぜ」とおなじみのポーズを決める水木一郎
アニメソングの第一人者として「アニキ」と慕われる水木一郎が、デビュー40周年を迎えた。これを記念してCD5枚組み「道」と、ヒット主題歌をアレンジしたセルフカバーアルバム「WAY」を出した。
■「掘ると夢出てくる」
68年にムード歌謡でデビュー。伸びのあるつややかな声でNHK「おかあさんといっしょ」の2代目「うたのおにいさん」を務めたこともある。ただ同じ年にデビューしたピンキーとキラーズや和田アキ子らに比べて「無個性」と言われ、声をからそうとしてみたり、米国武者修行を考えたりと悩んだ。
転機は71年に「原始少年リュウ」の主題歌を歌ったこと。「リュウになりきれば、水木一郎としての個性なんか要らない」と気づいた。以来、「マジンガーZ」「バビル2世」「仮面ライダーX」「宇宙海賊キャプテンハーロック」など、数々のアニメ・特撮番組の主題歌を歌ってきた。悩んでいる間に増えた引き出しが、三枚目のロボットからヒーローまで幅広い表現に役立った。
アニメソングは内容やスタイルに制約が多い。ファン層も若く、すぐに“卒業”していってしまう。アニメはキャラクターが主役で、主題歌の歌手は表に出づらい。歌手としても長く続けられるジャンルじゃないだろう……。デメリットはいくらでも考えつくが、メリットもあった。
「歌謡曲と違って、このジャンルには、つまり僕には先輩がいない。この先どうなるのかがわからないという楽しみがありました。掘ると夢が出てくる世界でした」
今やアニメは日本文化の顔の一つになり、海外のテレビ番組やイベントへの出演依頼も多い。ライブにはアニメで育った大人も増え、「アニキ〜っ」と声がかかる。
今年、還暦を迎えた。孫もいる。だが、声のキーは下がるどころか上がっている。歌手としてまだまだ衰えを感じていない。99年には24時間ライブで持ち歌千曲を歌い切った。「あの時は600曲くらいからノドが絶好調になった。今は持ち歌も1200曲に増え、もう一度何かやれそうな気がします」
40周年記念ライブは21日午後5時、東京・渋谷O―EAST。6千円(ドリンク代別)。問い合わせは03・3496・6998(バースデーソング)。(編集委員・篠崎弘)