盛況に終わった夏の大型ロックフェスティバル。その模様を2回にわたって報告する。まずは歴史の力を感じさせた“しにせ”の中から。(西正之)
12年目を迎えたフジ・ロック・フェスティバル(7月25〜27日、新潟県湯沢町)には内外の200組余りが出演した。大小いくつものステージを渡り歩き、ふと聞こえてくる新鮮な演奏にくぎ付け。そんな思わぬ出会いがこのフェスの醍醐(だいご)味だ。今年一番の出会いは米ベテラン女性ソウル歌手ベティ・ラベット。パワフルな声に心をつかまれた。
最終日の大トリ、忌野清志郎が病気でキャンセル。“フジの顔”の穴を埋めたのは常連の英ロックバンド、プライマル・スクリームだ。切れのある演奏とボーカル、ボビー・ギレスピーの危うげな歌唱で大役をさらりとこなした。フジがアーティストと積み重ねてきた歴史を感じさせた瞬間だった。
顔ぶれの豪華さが売りのサマーソニック(8月9、10日、千葉市)は9年目。目玉は、最新作が大ヒット中の英ロックバンド、コールドプレイ。第1回の注目株だった彼らが世界的バンドに成長し、8年ぶりに凱旋(がいせん)した。「楽しんでる?」と日本語の呼びかけも飛び出し、きらめくような美旋律で千葉マリンスタジアムを酔わせた。
セックス・ピストルズ、ポール・ウェラーと英パンクロックの潮流あり、パフュームと小泉今日子という日本の新旧アイドルもあり、と話題も十分だった。
ロック・イン・ジャパン・フェス(8月1〜3日、茨城県ひたちなか市)も9年目。サンボマスターがメーンステージの1番手で登場。ボーカルの山口隆は「午前中からこんなに盛り上がっていいのかーっ」。セカンドステージに登場した曽我部恵一BANDの青臭いロックンロールと客席を巻き込むパフォーマンスも印象的だった。
快適さで知られるこのフェスが、今年は犯罪予告に見舞われた。しかし手荷物検査などに観客が応え、混乱なし。容疑者も初日に捕まった。スタッフと観客に積み重ねられた信頼を見る思いがした。
一方、各フェスでマナーの低下を感じる場面もあった。興奮した観客が満員の客席に飛び込むダイブなど、危険な禁止行為も目にした。一度大きな事故が起きれば、フェスの存続にかかわる。幸せなイベントであり続けられるか。観客の側も問われている。