「人を思う気持ちを歌っていきたい」と話す秋元順子=佐々木薫撮影
今年61歳の遅咲きの歌手、秋元順子が人気を呼んでいる。1月末に出したシングル「愛のままで…」のヒットで一躍注目を浴び、今月6日には2枚目のアルバム「セカンド・ストーリー」(キング)を出した。低く伸びのある声で歌う「大人のポップス」が評判だ。
メジャーデビューは05年。58歳のオールドルーキーだった。
「3人くらいのお客さんの前で歌うことを積み重ねてきました。だから、たくさんの方に拍手をいただける今の状況は、歌手冥利(みょうり)につきます」
ルーツは、子供の頃にラジオで親しんだジャズやポップス。ナット・キング・コール、フランク・シナトラ、ドリス・デイらにあこがれた。
歌を志し、高校から音大に進むはずだったが、家庭の事情で就職。「この時の悔しい気持ちが、ずっと音楽への強い思いとして残っていたんだと思います」
就職先の会社でハワイアンバンドのサークルに入り、歌った。「仲間たちに色んなジャンルの音楽を教えてもらいました」。
子育てや家業の手伝いで、歌えない時期が14年続いた。「歌いたい。あきらめられない」。そんな気持ちがくすぶっていたころ、かつての仲間たちがバンドを再結成し、歌わないかと声がかかった。後押ししたのは「やりたいならやってみればいいじゃない」という長女の言葉だった。
ライブハウスやホテルのラウンジで歌を再開。プロになるつもりはなかったが、口コミで評判が伝わり、デビューすることになった。
1月発売の3枚目のシングル「愛のままで…」は、大人の愛をしっとりと歌った演歌調の作品。ヒットチャートにしぶとく残り続け、5カ月余りかけてオリコンの演歌・歌謡曲チャート1位に上り詰めた。
ジャズ、シャンソン、ラテン、歌謡曲……とジャンルを超えて器用に歌うさまは、まるで美空ひばりを思わせる。
「私にとって、日本で最も尊敬するアーティストでエンターテイナー。ひばりさんのように、毎日聞いていても飽きない歌手を目指します」
「団塊の星」と呼ばれることもある。
「その人の旬はそれぞれだし、何をスタートするにも遅いことはない。一歩踏み出せるかどうか。私の姿がそんな力になれたらうれしいです」(西正之)