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三善晃の歩みを奏でる 歌曲や交響曲、公演相次ぐ

2008年10月14日

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 この秋、作曲家の三善晃の歩みをたどる企画が相次ぐ。18、19の2日にわたって開かれる「三善晃作品展」のほか、日本フィルハーモニー交響楽団がかつての委嘱作「交響三章」などを再演する。「自分の手から飛び立っていった作品たちと再会するのは不思議な気分。自分自身の手触りを確認するかのようで、責任を感じます」と語る。

 75歳、重鎮と呼ばれる年齢になった。業界や聴衆を過剰に意識せず、ただ不器用に己の作品とのかっとうを重ねてきた、と来し方を振り返る。

 「それしかできない人間だから。曲を書き、そこで知らない自分、いまだはっきり見いだすことができない自分に出会う。このシンプルなことを繰り返してきただけ」

 東大在学中にパリ留学。足かけ3年の滞在で得たものは「自分が『異邦人』であるという認識」だったという。

 「絵画でも建築でも、ジャパニズムをまとったものがあまねく歓迎されていた。東洋思想や日本趣味を売りにするよう求められているようで嫌だった」

 自分の根っこを知らぬまま、西欧のことばで音楽を書いてはいけない。そう考え、西欧に行くことをしばらく封印した。

 今回の作品展でも演奏されるピアノ曲「En vers(韻をふんで)」(80年)を、国際コンクールで若きジャンイブ・ティボーデがどの日本人よりも見事に演奏したのは「うれしい驚き」だった。「彼が、彼自身の方法で、この曲に『水脈』を見つけてくれたのがわかった。僕自身も、ようやく西欧と向き合うことを許された気がした」

 ひとつの曲に没頭すると、その曲にとり殺されそうな気持ちになってくることがあるという。「死ぬか生きるか、そういう状態で書き続け、五線譜に最後の二重線をひいた瞬間、作品は僕をやっつけて飛び立ってゆく。苦しいけれど、やはり楽しいから続けてこられたんでしょうね」

 作品展は18日が「器楽・歌曲作品」で19日が「合唱作品」。いずれも午後4時、東京・初台の東京オペラシティコンサートホール。03・3985・5356(実行委員会)。日本フィル定期は24日午後7時と25日午後2時。指揮は尾高忠明。11月2日午後2時には名曲コンサートも。指揮は沼尻竜典。曲は「〈アン・パサン〉〜ヴァイオリンとオーケストラのための」。いずれも東京・赤坂のサントリーホール。03・5378・5911(日本フィル)。(吉田純子)

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