坂本冬美(左)と中村あゆみ=蛭田真平撮影
花も実もある40代がタッグを組み、09年の演歌界に攻勢をかける。坂本冬美(41)が7日に発表した新曲「アジアの海賊」は、中村あゆみ(42)の作詞・作曲によるワイルドな異色作だ。クラブ音楽のリズムとよさこいソーランの勢いを盛り込んだロック調に、坂本の伸びやかな声が映える。「向かい風だと血が騒ぐ/壱・弐・参で大逆転 宝島へと舟を出せ」と、逆風吹き荒れる日本を鼓舞する。
07年夏、加山雄三主催のイベントで坂本と中村は初めて出会い意気投合し、その日のうちにメールアドレスを交換した。坂本のステージを見るうちに、中村はロックのスピリッツに通じる熱いものを感じ、温めていた曲の提供を申し出た。
「翼の折れたエンジェル」で人気歌手になった中村だが、結婚・出産のため音楽シーンからしばらく遠ざかった。シングルマザーになり、「子どもと2人、これからどうしようかという時期に、この曲を書いた。自分への応援歌でもある」という。
坂本が「私はもともと性格が保守的。王道演歌をここのところ歌ってきて、このままどんどん保守的になっていくんだろうなと思ってた時に、あゆみさんからこの曲をいただいた」と話すと、すかさず中村が「楽曲が冬美ちゃんを選んだんだよ。歌ってくれる人が喜ぶと、曲も喜ぶ」。
昨年暮れ、坂本は大阪、東京のステージで初めて新曲を披露した。東京国際フォーラムでは「来年は最後の悪あがき。思いっきりはじけたい」と決意表明した。「ファンのおばちゃんが、『ありよ、これ!』と言ってくれて。いい意味で期待を裏切ることができた」と手応えを感じる。
和服とブーツを組み合わせた衣装も異色。Jポップ・ロックのメッカ「タワーレコード」のポスターに起用され、若者の目も引きつけている。「ありえないような風が吹いてきました。私自身も波に乗りつつある」
中村も昨年はカバーアルバム「ボイス」を発表し、「翼の〜」がテレビCMで流れるなど追い風ムードだ。「昔は『人生50年』。今は40代なんて折り返し地点。ジェットコースターのような人生だけど、この曲を作ってから本当に風が吹き始めた。言葉の力ってあると思う」。あやかりたいものだ。(藤崎昭子)