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ピアニスト、清水和音 ブラームスの魅力探る

2009年1月16日

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写真「昔弾いた曲を弾き直すたび、ちゃんと自分が変化していることが分かる」と語る清水和音=堀田力丸氏撮影

 2011年にデビュー30周年を迎えるピアニスト清水和音が、後期作品を中心に、ブラームスの魅力を掘り下げるプロジェクトに挑む。初回は17日。ベルリン・フィルのメンバーらとトリオを奏でる。「節目の意識はない。その都度好きな音楽に、楽しく、少し不器用に立ち向かっていく。そんな歩みを続けていきたい」と語る。

 95年から2年かけ、ベートーベンのピアノソナタ全曲演奏会を開いたり、ショパンの全曲録音に取り組んだりし、「全曲公演」ブームの先駆けとなった。しかし本人は「全部やるという発想は、本当は好きじゃなかった」と話す。

 「嫌いな曲も弾かなきゃいけないし、何よりお客さんが面白くないのでは」

 そもそもピアノ漬けになれない性分。他の楽器の友人たちと遊び「時には雀荘(じゃんそう)からコンクールに駆けつけた」。それが20歳でロン・ティボー国際音楽コンクールで優勝、一躍時代の寵児(ちょうじ)になる。各地をリサイタルでかけ回る「全力疾走状態」の日々が始まる。

 「30歳を超え、このまま弾き続けて死んでいくのかな、と思うと切なくなった。32曲のすべてがそれぞれの存在感を持つ、ベートーベンのピアノソナタの世界に、じっくり向き合ってみたくなった」

 今回共演するのはホルンのラデク・バボラークとバイオリンのローレンツ・ナストゥリカ。ピアノを習う子供が必ず一度は洗礼を受ける、ツェルニーの珍しい室内楽曲も聴かせる。ピアノパートの譜面は、まさにあの練習曲そのもの、といった風情だ。

 「ひとつの音階をどれだけ魅力的に弾けるか。ピアニストとしての能力を根本から問われてしまう。様々な音の素材をどうおいしく加工するか。そういう『料理人』としてのセンスも要る」

 といいつつ、当の清水は子供の頃、ツェルニーをどうしても弾きたくない、と先生に交渉したこともあるとか。

 「日本の音楽教育も目的に応じてもっと創造的になってよいと思う。判で押したように、なぜみんなバイエルとツェルニーをやらないといけないのか。そう思いませんか」

 30周年への抱負や希望は、「特にない」とのこと。「昔は3日で覚えられたことが、10日かかるようになる日もきっと来る。でも、時間による熟成が、また新しい音楽の世界を開いてくれるはず」

 東京・飯田橋のトッパンホール(03・5840・2222)で。午後6時。2月14日には東京・赤坂のサントリーホールでリサイタルも。午後2時。サンライズプロモーション東京(0570・00・3337)。(吉田純子)

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