現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 映画・音楽・芸能
  4. 音楽
  5. 記事

名門一家の異分子 ジャズピアニストのトーマス・エンコ

2009年6月22日

 ピアノ、バイオリンを自在に操るフランスジャズ界の注目株。7月1日、ピアニストとしての日本デビューアルバム「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」(ブルーイングリーン)を出す。音の響きがみずみずしい。が、若さにありがちな、力で押す感じはない。「年の割には、早熟なのかも」とはにかんだ。

 クラシック音楽の名門一家に育った。祖父は指揮者のジャンクロード・カサドシュ、母もソプラノ歌手。3歳でバイオリン、6歳でピアノを始めた。貴公子のようなたたずまいに、育ちの良さも感じさせるが、「一族の中では僕は異分子」と言う。

 影響を受けたのは、母の再婚相手でジャズバイオリニストのディディエ・ロックウッドだ。彼が立ち上げたジャズスクールに12歳で入学。年齢も職業も様々な人々が集う「梁山泊」のような場所だった。和気あいあいと語り合い、セッションする楽しさを子供ながらに感じた。後に、パリの国立高等音楽院ジャズ科に進んだが、水にあわなかった。

 「高い技術を教えていたけれど、退屈で。技術を得るのは、工事と同じ。コツコツと築いていける。自分の物語をいかに語るか。それには色んな人と交わることのほうが大事。先生には教われない」

 早熟のジャズマンは今、未開の森を一人で切り開いていくようなスリルを味わっているという。8月下旬に、イベント出演などで再来日する。(西正之)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内