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復興は音楽から イタリア地震、邦人建築家がホール計画

2009年7月4日

写真音楽ホール建設に使われる紙管。ラクイラ近郊の工場で製造される=坂茂建築設計提供写真音楽ホールの完成予想模型。ホールの横には教室も建設する=坂茂建築設計提供写真予定地となる路面電車の駅の骨組み。紙管を使った音楽ホールに生まれ変わる=伊中部ラクイラ、坂茂建築設計提供写真坂茂さん

 【ローマ=南島信也】4月にイタリア中部を襲った地震の被災地で、8日から主要国首脳会議(G8サミット)が開かれるラクイラの復興支援のため、日本人建築家による音楽ホール建設プロジェクトが進んでいる。サミットの際に予定されている日伊首脳夕食会でも、麻生首相からベルルスコーニ伊首相に日本の支援策の一つとして伝えられる。

 パリやニューヨークなど主に海外で活動する坂茂(ばん・しげる)さん(51)。紙管という紙製パイプを使う建築手法で知られ、阪神大震災の際も紙管で教会の集会所などを建設した。

 学生が多く、アルフレド・カセッラ音楽院など音楽の街としても知られるラクイラは、4月6日の地震で約300人が死亡し、現在も2万人以上がテント生活を送る。教会を使った音楽ホールも崩壊し、演奏の場を失った学生たちのラクイラ離れが懸念されていた。

 安藤裕康・駐伊大使から「日本ならではの貢献をしたい」と相談を受けた坂さんはラクイラを度々訪問。再建には音楽が欠かせないとして音楽ホール建設を思いついた。

 予定地は路面電車の駅になるはずだった場所に決定。駅の鉄柱と屋根ができたところで工事が中断しており、その骨組みをそのまま活用し、壁や天井などほとんどを紙管を組み合わせて造る。低コストで工期も短いうえ、耐震性にも優れ、紙製のためリサイクル可能というメリットがある。サミット後に着工し、10月末に完成予定だ。

 「地震で人が亡くなるのは建物が壊れるからで、建築家の責任だ。建築家は庶民のために経験や知識を生かさなければならない」と坂さん。同音楽院のブルーノ・カリオティ院長は「アイデアを聞いて歓喜した。ラクイラにまた音楽が戻ってくる」と話した。

 費用は約100万ユーロ(1億4千万円)。日本政府が半分程度拠出するが、残りは寄付を募る計画だ。問い合わせは坂茂建築設計あてにEメールeurope@shigerubanarchitects.comか、ファクス03・3324・6789まで。

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