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水樹奈々、「アイドル声優」の強靭な歌声

2009年7月12日

 歌がうまいアイドル声優。その程度の認識で臨んだら、強靱(きょうじん)な歌声になぎ倒される。5日、水樹奈々の埼玉・西武ドームでの公演を見てそう再確認した。

 もともと演歌歌手志望で、中学卒業後に愛媛から上京し内弟子修業までしたという。声優デビューの方が先になったが、シングルも既に19枚発表。昨年は新宿コマ劇場で夢の座長公演を実現させ、この日、初のドーム公演に挑んだ。

 歌への前のめりな思いを示すようにアップテンポで畳みかける新アルバム「アルティメット・ダイアモンド」収録曲を柱に、29曲を披露した。ミニスカートや姫系ドレス、和服風ドレスなど多彩な衣装で、峰不二子ばりのアクションも披露するなど視覚的にもサービス満点。会場を縦横に駆け、激しいダンスを織り交ぜながら、伸びやかな歌声はコントロールが行き届いてぶれることがない。

 スクリーンに映し出されるはじける笑顔や切なげな憂い顔は、男子なら守ってあげたくなるだろうかれんさだ。しかし、表情豊かなビブラートはむしろ包容力を感じさせる。聴き手の感情のふたを開け、彼女の世界に身を委ねさせてくれる頼もしささえある。

 熱帯ジャズ楽団などで活躍するサックスの藤陵雅裕を始め、ベテランで固めたバンドの演奏も万全。サウンドのディテールはこもってしまいがちな会場だが、ギターやアルパを背にアコースティック版で歌った「イノセント・スターター」や「深愛」では、ほどよいエコーが情感を引き立てた。

 アンコールも含めて約4時間。アニソン的な刺激に満ちた曲の連打は正直、耳にこたえた。だが、3万人の歓声をエネルギーに「まだまだいける」とお祭り気分を途切れさせない疲れ知らずの笑顔は、最後まで痛快だった。(藤崎昭子)

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