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バンドネオン奏者 三浦一馬 探究心に従い猪突猛進

2009年9月28日

写真三浦一馬さん

 バンドネオンとの出会いは、まるで前世からの宿縁のようだった。

 10歳の時、テレビで人気奏者小松亮太の演奏を聴き、初めて目にした楽器の響きに衝撃が走った。早速、小松に直談判して弟子入り。06年には巨匠マルコーニを慕って国内での音楽祭に駆けつけ、アルゼンチンでの個人レッスンを許された。

 「変わった子供で、何か思いつくと、何もかもなげうって走りださずにいられない。あの哀愁を帯びた響きと形に取りつかれたんです」

 これまでの成果を凝縮させたのが、今春メジャーレーベルから初めて出したCD「タンゴ・スイート」(ビクター)。ピアソラ、マルコーニらのタンゴの名曲とともに、ジャズピアノのオスカー・ピーターソンの「夏が来るとき」や、クラシック界のピアノの天才ホロビッツが演奏して話題になった「カルメン幻想曲」を自ら編曲して織り込んだ。

 「この楽器には限りない表現能力がある。タンゴ奏者というよりバンドネオン奏者として、ジャンルを超えた可能性を追求したい。アルバムには新しい挑戦の意味も込めた」

 発言を裏書きするように、バンドネオンでは珍しく、ソロやピアノとのデュオを演奏形式の中心にすえたいと考えている。「ピアノのソリストのような役割をバンドネオンという楽器で実現したい」と語る。

 今春高校を卒業し、今は演奏活動の合間を縫って指揮の勉強に余念がない。猪突猛進(ちょとつもうしん)の姿勢の裏に、したたかな探求心が見える。(上坂樹)

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