現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 映画・音楽・芸能
  4. 音楽
  5. 記事

音楽に笑い利かせて クレーメル、コメディーコンビとコラボ

2009年10月17日

 手兵のアンサンブル、クレメラータ・バルティカを率いて刺激的な音楽を提供してきた名バイオリニスト、ギドン・クレーメルが、今度は「笑い」と切り結ぶ。クラシックコメディーのイグデスマン&ジューと組んで11月に日本各地で行うコラボレーションは、クレーメル流「音楽の脱構築」だ。

■ダンスやピアソラ風バッハ 11月に来日公演

 イグデスマン&ジューはロシア生まれのバイオリニスト、イグデスマンと、韓国系で英国生まれのピアニスト、ジューのコンビ。ともにユーディ・メニューイン・スクール出身で、確かな音楽技術とユーモアに満ちたパフォーマンスで人気だ。

 評判を聞いたクレーメルは06年、自身が主宰するロッケンハウス音楽祭に招待して意気投合。これまでヨーロッパで20回以上コラボレーションを展開してきた。

 「2人とも笑いを武器に常識をひっくり返して見せる大変な才能の持ち主。ジェスチャーや言葉の隅々まで緊密に設計されていて、まるで日本の自動車やスイスの時計みたいだ」とクレーメル。

 コラボレーションでは、モーツァルトの名曲がジューの茶々をはさんでいつの間にか映画007シリーズのテーマ曲に変わったり、クレメラータ・バルティカの全員が興に乗ってアイリッシュ・ダンスを踊ったり。さらにバッハ作品をピアソラ風に変えるなど様々な趣向で楽しませる。

 「笑いで一ひねりを加えることで、聴く人が音楽への既成概念や自分の日常を問い直すことになる。音楽とユーモアは、人間の同じ心から生まれた、優れた感情言語だ」

 ペルトやグバイドゥーリナら旧ソ連時代に無視された音楽家を紹介し、タンゴの革命児ピアソラのブームを生むなど、新しい音楽の提供に腐心してきた人らしい言葉だ。その底には、商業主義的な音楽市場への批判もある。

 「芸術作品なのに、売り上げやチャートの順位など、質でなく量で判断されがち。よい音楽か、つまらない音楽かは、実は管理された形で日常化されている」

 公演の題は「BEING GIDON KREMER(ギドン・クレーメルであること)」。実生活での体験に着想を得たらしい。

 「10代半ばのころ、役者や演出家にあこがれた。即興精神を大切にする私の活動には、そんな思いが通底している。今回は自分の人生を豊かにする挑戦でもある」

 公演日程は11月5日が名古屋(電話052・957・3333)、同6日が東京(03・3466・2258)、同8日が大阪(06・6453・6000)。(上坂樹)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内