2009年11月5日
スライドギターの名手で、世界各地の民族音楽とかかわり続けるライ・クーダーが来日公演中だ。英国のパブロックのベテラン、ニック・ロウとの共演で、シンプルな編成による味わい深い妙手を披露する。
ロウとは92年に「リトル・ビレッジ」を結成したが、アルバムを1枚出しただけで解散した。昨年、チャリティーコンサートで共演し、「楽しかったのでもっとやろう」と意気投合。今夏に欧州を5週間巡演し、14年ぶりの来日公演も決まった。
クーダーと、ベースを弾くロウ、クーダーの息子でドラムのヨアキムが基本編成のステージ。「トリオなので自由がきくし、ジャズのような即興性も出るだろう」とクーダーは話す。
70年にデビュー。ブルースを基盤に、R&Bやカントリーなど米国のルーツ音楽への懐の広さを感じさせる作品を次々と発表。さらに、メキシコやハワイ、沖縄などで現地のミュージシャンと交流しながら民族音楽を吸収、作品化していった。
最大の成功例が90年代、キューバの老音楽家たちを「再発見」した「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」だ。
「色々な音楽の『起源』を知れば、その真価が楽しめる。美しく素晴らしい音楽は、聴いてもらえさえすれば、多くの人々に広まる可能性がある」
だが、「起源」を体現する音楽家は高齢で次々と世を去っている。「それらに慣れ親しんできた、私たちのような『古顔』から何かを知ってもらえたらいい」
近年は05〜08年に「カリフォルニア三部作」と称される3枚のアルバムを立て続けに発表し、母国の足元を見つめ直した。「かつて貧しい労働者が生活を向上させるために立ち上がったことを伝えたかった。ブッシュ大統領の時代はそういうことが忘れ去られ、腹立たしい思いだった」と言う。
アイルランドのトラッドバンド「チーフタンズ」のパディ・モローニと、アメリカ・メキシコ戦争を題材にした作品を制作中で、近く発表の予定。ずっとファンだったメキシコのアコーディオンバンドも参加するという。
62歳になったが、創作意欲は尽きない。「つねにアイデアを考え、曲を書く。毎朝起きたら、何かやらなくてはいけないからな」
東京公演は5日が水道橋・JCBホール、9、10、11日が渋谷・オーチャードホール。電話03・3402・5999(ウドー音楽事務所)。(宮本茂頼)