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即興が生む生命力 平尾雅子、「変奏論」翻訳

2010年1月30日

 ルネサンス期にイタリアで活躍した宮廷音楽家ディエゴ・オルティス。彼が当時の演奏技法の粋を著した大著「変奏論」にビオラ・ダ・ガンバ奏者の平尾雅子が挑んだ訳書「オルティス変奏論」(浜田滋郎監修、アルテスパブリッシング)が出版された。実際に音楽を聴かせる出版記念演奏会も2月11日に東京・祐天寺の聖パウロ教会で開かれる。

 当時の楽譜には、奏でるべき音すべてが書かれているわけではない。シンプルな音の連なりに自由に装飾を加え、即興的に変奏させて、演奏家たちはその腕前や音楽性を披露した。しかし、譜面通りに演奏することに慣れている現代の演奏家がいきなり「自由に即興を」と言われても、なかなかうまくいくものではない。そこで「譜面からファンタジーを広げる一翼にしてもらえれば」と、平尾はこの本の翻訳に取り組んだ。完成には25年かかった。

 直接のきっかけは、恩師ジョルディ・サバールが「変奏論」の譜例を抜粋し、演奏会で弾いたことだ。シャンソンや舞曲の旋律に多彩なシンコペーションが加わり、音楽に温かな血が通い始めた。

 「ジャズの即興も、まったくの『無』から生まれるものではない。当時の即興のやり方を知ることが、ルネサンス音楽の真の生命力を伝えることになる」

 公演は午後3時。共演はチェンバロの上尾直毅ほか。4500円。学生2500円。電話03・5216・7131(アレグロミュージック)。(吉田純子)

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