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藤倉大、師匠ブーレーズと競演 米シカゴ響で新曲披露

2010年2月20日

写真新曲「ミラーズ」初演の後、楽屋で談笑する藤倉大(写真右)とブーレーズ=米シカゴ、石合写す

 今年3月に85歳になる現代音楽の巨匠ピエール・ブーレーズを祝う米シカゴ交響楽団の特別演奏会が1月24日、シカゴで開かれた。ブーレーズは自作曲を指揮するなど意気盛ん。師弟関係にあるロンドン在住の作曲家藤倉大(32)の新曲「ミラーズ」も初演された。

 名門シカゴ響が日本人作曲家に委嘱したのは、1990年の武満徹作曲「ヴィジョンズ」以来。尾高賞、芥川作曲賞を昨年、相次いで受賞し、国際的に活躍の場を広げる藤倉の新曲は、チェロ6台を使った約12分の弦楽アンサンブル。クリフ・コルナット指揮でシカゴ響のチェロ奏者が演奏した。弓とピチカートという二つの奏法が頻繁に入れ替わり、音が「凹凸のある鏡」を通じて広がる印象だ。

 「もともとあるテクニック(奏法)の組み合わせでどれだけ不思議なことができるか」と藤倉。約1年前に委嘱され、チェロのみの作品を書き始めたとき、まず思い浮かんだのはブーレーズ作曲の「メサジェスキス」だった。独奏と6台のチェロで演奏するこの曲について「当然知っていたので、違いを出そうと意識して作曲した」と話す。

 そんな藤倉の試みに、ブーレーズは当初予定していなかった「メサジェスキス」をプログラムに組み入れ、藤倉作品初演の前に自らタクトをとって演奏。チェロ曲をめぐる「師弟競演」となった。

 「ミラーズ」についてブーレーズは「とても独創的な曲だ。楽譜を分析したうえで自分でも一度、指揮してみたい」と評価。弟子からの「誕生プレゼント」を今後、「メサジェスキス」と組み合わせて取り上げていく考えだ。

 特別演奏会では、65年前に書かれた初期のピアノ曲「ノタシオン」、バイオリンと電子音を組み合わせた「アンテーム2」など、一連の作品も演奏された。電子音楽の作品を演奏するために大型コンピューターやシンセサイザーを会場に運んだ時代もあったが、「アンテーム2」はいまノートパソコン1台で演奏できるようになった。

 ブーレーズは特別演奏会の前に、3日間の定期演奏会でストラビンスキー「火の鳥」(全曲版)などを指揮。最終日の演奏後はサイン会に応じ、翌朝午前10時から特別演奏会当日のゲネプロに顔を出すなど精力的だった。今後2年間は指揮活動を減らし、作曲を重視する方針という。(シカゴ=石合力)

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