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ジミヘン没後40年 スタジオ音源から新盤を発売

2010年3月15日

写真拡大ロンドンでジミ・ヘンドリックスについて語るエディ・クレイマー氏=漆原未代氏撮影

 米国の伝説的な天才ギタリスト、ジミ・ヘンドリックス(ジミヘン)が27歳の若さでこの世を去ってから40年。米英のスタジオで録音されていた数々の音源を最新技術でつなぎあわせて完成させたアルバム「ヴァリーズ・オブ・ネプチューン」が発売された。生前から編集を担当したエンジニア、エディ・クレイマー氏がジミヘンとの思い出や今回の編集作業などについて語ってくれた。

 ジミヘンは1966年、ロンドンでバンドを結成してデビュー。斬新なギターサウンドや卓越した演奏技術、ギターに火をつけて破壊するパフォーマンスなどで人気を博した。

 クレイマー氏が初めてあったのは67年、ロンドンのスタジオだった。「とてもおとなしく、シャイな人物だった」と振り返る。別のスタジオで収録していたが満足できず、同氏のいたスタジオの評判を聞いてやってきた。「すぐに意気投合した」という。

 ジミヘンとの作業について「連日のようにスタジオにこもり、すごい集中力で演奏を続けた。常にギターの可能性の限界を追求した。そこにルールなど無かった。知る限りすべての知識や技術をつぎ込んで、新しい音をさぐる実験の日々だった」と語る。

 今回のアルバムに収録された曲の音源の大半が録音されたのは69年だ。金字塔となったアルバム「エレクトリック・レディランド」を68年に出した後、70年9月にロンドンのホテルで急死するまでの間にあたる。クレイマー氏は「69年は『チェンジ』の年だった。アルバムで大成功を収めたあと『次は何をするのか』を模索した時期だった」と話す。ジミヘンはメンバーを頻繁に変えながら、音の実験を続けたという。

 この時期に残された数え切れないほどの音源について「今聴いても新鮮で、ジミからほとばしるエネルギーは信じられないぐらいすごい」と話す。1年かけてすべての音源を聴き、別々の音を重ねるなどして曲をよみがえらせていった。「特に1曲目の『ストーン・フリー』はお気に入りだ。技術的に難しい曲だが、ベースが違うメンバーなので、いつもよりテンポが遅く、まったく違った曲になっている」と話す。

 クレイマー氏は、レッド・ツェッペリンやビートルズ、ローリング・ストーンズなど多くのバンドと仕事をしてきたが、「やはり、ジミが頂点に君臨している。彼の音は誰も出せない。40年たっても色あせないギターの音を聴いてほしい」と話した。(ロンドン=土佐茂生)

■「ファンキーな志向」 音楽評論家の湯浅学さん

 アルバムの聴きどころは何なのか。音楽評論家の湯浅学さんに聞いた。

 「曲をつくってから録音するのでなく、演奏しながら曲を仕上げていくのが彼のスタイル。そのため膨大に残されたスタジオ音源は、生きていたらどんな音楽を作ろうとしていたか読み解くうえで興味深い。死の直前の時期の録音である今回の作品を聴くと、よりファンキーな音楽を志向していたことがわかり、生きていればジャズを含めた黒人音楽の急進性を高めた豊潤なロックの可能性を感じさせる」

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