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言語を超えた透明な響き 米英で人気「アソビ・セクス」

2010年4月24日

写真:築達友紀=ニューヨーク、山中写す拡大築達友紀=ニューヨーク、山中写す

 アソビ・セクスという奇妙な名のバンドが米国や英国で人気だ。日本出身の築達友紀(ちくだて・ゆき)とアメリカ人男性との2人組を軸にした編成で、英語と日本語の間を自在に浮遊するボーカルが独特の魅力を放つ。

 「透明で柔らかな天使のボーカルが雪のように降りそそぐ」「少女のようなソプラノがギターと共鳴して神々しく響く」

 米英の音楽批評メディアは、絶賛調で紹介している。例外なく言及するのは築達の歌唱法だ。「信じられないほど高く弾む声。聴いていると歌が英語なのか日本語なのかわからなくなってくる」

 父は山形県の、母は沖縄県の出身。4歳で一家は日本からロサンゼルスへ移住し、築達は幼稚園からずっと現地の公立校で英語に浸った。

 しかし、家の中で英語は厳禁。両親が運営する公文式教室の計算ドリルをコツコツと解いた。「公文式教育のわが家では九九がちゃんと言えないと晩ご飯が始まらないんです。日本語を失わなかったおかげで、日本語はステキな言葉だとアメリカ人に伝えられる」

 クラシックピアノを学んだマンハッタン音楽院で、ギター専攻のジェームズ・ハンナと知り合い、2001年にアソビ・セクスを結成。04年のデビュー以来、「シトラス」「ハッシュ」などアルバム4枚を出した。

 曲の多くは英語だが、日本語の曲も繰り出す。「つり橋をひとりで渡るころ/船は揺れている」(「目の前」)。日本語の曲に突如、英語が飛びこむことも。「小さい時のこと思い出してごらん/その目をそっとあけ/Candy says」(「ニュー・イヤーズ」)

 日本語の詞は築達が書く。「大意だけ教えてくれたら十分。響きが曲に合ってるかどうかが大事。一節ごとの意味は分からなくてもいい」とハンナ。

 ライブの観客も、その「異次元」の浮遊感に陶然とする。築達の日本語と英語の滑らかさが同じ水準だからだろう。

 奇抜なバンド名はハンナが考え出した。

 「英語で言えばplayful sex。遊び半分のセックスくらいの意味ですけど、私の母は『恥ずかしくて沖縄のおじいちゃんに言えない。お願いだから改名して』と嫌がってます」(ニューヨーク=山中季広)

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