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「貧弱な言葉の壁、壊す」 歌手の町田康、13年ぶり新作

2010年5月11日

写真:「音楽は小説と違って演奏しているときだけ存在するし、またそこが面白い」と話す町田康=石動弘喜氏撮影「音楽は小説と違って演奏しているときだけ存在するし、またそこが面白い」と話す町田康=石動弘喜氏撮影

 作家の町田康(こう)が、本来のパンク歌手として自身名義では13年ぶりとなる新作アルバム「犬とチャーハンのすきま」を発表した。小説家として著名になったが、古いファンには歌手としての長い沈黙はもどかしかったことだろう。新作は、待つだけあった中身の濃い会心作となった。

 17歳で本格的に音楽活動を始め、1981年にバンド「INU」でデビュー。町田町蔵(まちぞう)と名乗り、主にアンダーグラウンドで人気を集めた。ソロになってからも北澤組などをバックにアルバムを残してきた。96年に町田康の名で小説を発表、文学の世界で大成する一方、自身名義のアルバムは97年の「脳内シャッフル革命」を最後に途絶えていた。

 「曲自体は13年間休まず書き続けていたし、ずっとバンドをしたかった。形にならず不本意だった。これで昔書いた曲も成仏させることができたかな」と笑う。

 新作のメンバーはNATSUMENのA×S×E(アセ)(ギター)、ハイ・スタンダードの恒岡章(ドラムズ)に、石橋英子(ピアノ)、赤坂ミチル(ベース)の手だれたち。ファンク、ストレートなロック、変拍子の前衛ロック、昭和歌謡風などのサウンドに、町田のボーカルが自在にほえ回る。

 詩人でもある町田は、今作でも豊饒(ほうじょう)な語彙(ごい)で重層的な歌詞を書いている。居場所が見つからない非モテ男の妄想(「頭のなかの青い海」)や、リストラ男の自暴自棄(「饂飩出汁(うどんだし)」)など、時代を感じさせる歌詞も目立つ。

 「何か主張をしようと思って歌を書いたことはない。ただ、時代が歌詞に入り込んでしまうことはある」と町田は話す。その時代感覚とは「ベターッとした空気感、閉塞(へいそく)感、圧迫感。『みんながこう感じてるから自分もそう感じなければいけないと感じている感じ感』」だという。

 うどんをモチーフにとった一見ふざけた曲が数曲あるが「ソバの純血・純粋に対して、うどんは何でもあり。ぼくは雑多、ミックスが好きなんです」。

 それは、小説と音楽の言葉の共通点でもある。

 「言葉もミックスする。一見、通りが悪そうな言葉をあえて続けて配置する。ロックでも小説でも、表現のジャンルが持っている重力から脱し、貧弱な言葉の壁を壊したいから。それとユーモアですね。笑ってしまうと一切ぶっ飛ぶ。どうでもよくなるじゃないですか。笑いによる崩壊感覚を盛り込みたい」

 今後もパンク歌手を続けるという。「そうしないと固まっちゃう。小説家としてしかものを見なくなってしまう。ロックンロールし続けないとだめなんですよ、小説も」(近藤康太郎)

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