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人生と若さ、動物的に享受 米ポップスの大型新人ケシャ

2010年5月14日

 長い手足をしなやかにくねらせ、カメラにポーズを決めていく。「直感で行動する点では人間よりも野生動物に近いかも」と本人。全米チャート首位を獲得した初アルバムのタイトルは、ずばり「アニマル」だ。

 昨年、シングル「ティック・トック」でデビューし、いきなり9週連続でチャート首位を記録。ポップス界のど真ん中に、華々しく乗り込んだ。ラップのような歯切れのよい歌声が、はやりのエレクトリックなダンスポップにのって痛快に駆け抜ける。

 「人生を、若さを、自分らしく楽しんで、幸せになる。若い人たちが自分を解放するきっかけになるような、ポジティブなメッセージを伝えている」

 それは、日本でうけているような「頑張ろうソング」ではない。「ティック・トック」では、ウイスキーで歯を磨いて出かけ、警察官に追い出されるまで飲んで騒ごう、と歌う。男、酒、音楽を貪欲(どんよく)に享受しようという快楽主義に貫かれたパーティーソングなのだ。

 良識ある大人は、まゆをひそめるかもしれない。だが、富の多寡で幸福をはかるような、世間の価値観こそがばかげている……。そんな反抗心が脈を打っている。

 プロのミュージシャンになるため、17歳で学校をやめ、ブリトニー・スピアーズのバックコーラスなど、下積み生活が5年ほど続いた。「ウエートレスや電話勧誘の仕事もしながらで、無一文に近いような時もあった」と振り返る。

 窮状を笑い飛ばそうと、アーティスト名の「S」の一文字を、ドルマークの「$」に変えた。「お金がすべてみたいなセレブもいるけど、私は高いカバンや靴を持っていなくても、おしゃれができるし、人生を楽しめる」

 下品だ、俗悪だ。そんな批判はつきまとうだろう。でも、男たちがあけすけにしても許される欲望を、なぜ女の子が表に出してはいけないのか。

 「男性がすることを、女性がしてもいいじゃない。素直に自己表現することはとても大切なこと。女性もそうすべきだと思う。自分の音楽が、みんなを勇気づけられたらいい」

 強く野心的な女性スターが席巻する昨今のポップス界に、またひとり新星が加わった。(宮本茂頼)

    ◇

 KE$HA 1987年、米ロサンゼル生まれ。2009年にフロー・ライダーのヒット曲「ライト・ラウンド」にボーカルで参加。同年、シングル「ティック・トック」でデビュー。初アルバム「アニマル」の日本盤が今月発売された。

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