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巨匠の響き追究 マルケビッチ版でベートーベン全交響曲

2010年5月19日

写真:「心に迫るベートーベンを奏でたい」と語る飯守泰次郎「心に迫るベートーベンを奏でたい」と語る飯守泰次郎

 20世紀を代表する指揮者の一人、イーゴリ・マルケビッチ(1912〜83年)。彼が自ら校訂した楽譜に基づくベートーベン交響曲全曲演奏会を、飯守泰次郎率いる東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団が開く。先人たちが求めた理想の響きが、この「マルケビッチ版」には詰まっている。

■飯守泰次郎「荘重で劇的」

 「時代が変われば響きのたたずまいは変わる。でも、巨匠たちの直感が受け継いできた作品の核は変わらない。それを追究したい」と飯守は語る。

 マルケビッチはウクライナのキエフ生まれ。10代でアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮し、ピアニスト、作曲家としても活躍した異才。生涯敬愛したベートーベンに向き合った証しが、「マルケビッチ版」と呼ばれる楽譜だ。

 強弱の付け方やフレーズの歌わせ方などに、独自の音楽観がにじむ。しかし何より、交響曲に関する自らの解釈を連ねた校訂報告が充実している。各曲が作られた時代、楽器の改良の変遷と歴史、民俗音楽の影響、その後の作曲家に与えた影響……。九つの交響曲を、ベートーベンの音楽家としての人生の中に位置づけるという作業は、音楽を包括的にとらえる指揮者だからこそできる仕事だ。だが、その成果を十分に世に問うことができぬまま他界した。

 その譜面に挑もうとする指揮者は、今や少数派だ。古楽を意識した演奏で作品の実像に迫ろうという動きが増えたのも一因だが、フルトベングラーやワインガルトナーらが奏でたような個性や情念むき出しの演奏が姿を消したこととも重なる。

 「私自身、古楽研究の成果の恩恵を受けてきた。しかし、マルケビッチの偉大な作品の真価は、人に受け継がれてこそのもの。その幅の広さ、懐の深さが理解されるのではないか」。遺書さながらの楽譜を眺めて浮かび上がってくるのは、一音一音を丁寧に響かせようとする、ぬくもりのある音楽という。「荘重で劇的。そして歌心が詰まっている」

 飯守は「解釈には、確かに誇張もある。でも、マルケビッチという偉大な指揮者の思考のあとを追うことは、無尽蔵の広がりを持つベートーベンという作曲家の本質に迫ることにもなると思う」と話す。

 第1回演奏会は31日午後7時、東京・初台の東京オペラシティ。曲は歌劇「フィデリオ」序曲と交響曲第4、7番。6千〜3千円。03・5624・4002(楽団)。(吉田純子)

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